クレーマー撃退法

第9回】カルビー/クレーム客の96%をリピーターに変える 驚異のお客様相談室

【ピンチをチャンスに変える攻めのクレーム対応①】
苦情は宝の山というが、実際にはクレームに対処するのが精いっぱいで、それを宝に換えるのは難しい。クレームから学び、ビジネスに生かしている企業の実例を紹介する。

 東京・丸の内のカルビー本社のお客様相談室──。その一角にあるデスクで、客からの電話にじっと耳を傾けているのは、伊藤秀二社長だ。

 同社では2014年から毎年、AAO(安全、安心、おいしい)活動を実施している。客に安全、安心でおいしいものを届けるために何ができるのかを全従業員で再認識しようという社内キャンペーンで、期間は3カ月以上に及ぶ。

 期間中は、社長、役員をはじめ商品担当などが、お客様相談室のブース内に設置されたモニタリングデスクで、客からの電話をリアルタイムで聞いたり録音したものを聞いたりして、客の生の声に接するようにしている。


お客様相談室のデスクで、客からかかってきた電話の生の声をモニタリングする伊藤秀二社長

 さらに2年前からは、お客様相談室のコミュニケーター(オペレーター)が全工場に出向いて、1年間に集まった客の声の中から代表的なものを録音で工場の社員に聞いてもらっている。紙の報告書を見るのと客の生の声を聞くのとでは、意識付けが全く違う。例えば、髪の毛の混入というのは百パーセント防ぐのは難しいが、客からすると非常に不快感が強い。それ故に、クレームの電話もものすごい調子でかかってくる。その声を実際に聞くと工場の社員も「もっとしっかり作業着と作業帽のローラー掛けをしなければ」と再認識する。

 カルビーがAAO運動を始めたきっかけは、異物混入による大規模な回収を経験したからだ。2000年8月11日、ポテトチップスに「かなへび」が混入していたために約6万袋を自主回収。翌年にはじゃがりこに未承認の遺伝子組み換えの原材料が使われていたため、約450万個を回収した。さらに12年11月20日には、堅あげポテトにガラス片が混入し、約530万袋を自主回収している。

 これらの教訓を風化させないようにと、毎年8月11日~11月20日、忘れることのできない日付を始点と終点にしたAAO活動が始まったのだ。

 カルビーの顧客対応の特徴は、「守り」と「攻め」が表裏一体となっていることだ。

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週刊ダイヤモンド 2019年2/16号 [雑誌]

ダイヤモンド社,週刊ダイヤモンド編集部
ダイヤモンド社; 週刊版
2019-02-09

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店員に土下座を強要する、同僚に暴言を吐く、SNSに悪評を書き込む。そんなモンスタークレーマーが急増している。理不尽な要求を突き付けられ、精神的に参ってしまう人も少なくない。人手不足に悩む企業にとって、モンスタークレーマーは生産性を低下...もっと読む

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