子どもの頃は、自転車があればどこへでも行ける気がして…
立ちはだかる動物はやけに大きく、最強の武器は長い木の枝で...スマホもネットもなかったけれど、むしろ不便なくらいがワクワクしたなあ、なんて遠い目になったあなたは、ここ宝島へ。“毎日が冒険”だった頃の感覚がよみがえる島です。
“日本最後の秘境”と言われるトカラ列島。その最南端の有人島であるこの島は、鹿児島港から336km、奄美大島から90kmの洋上に浮かび、奄美の人いわく「奄美の99%の人は行ったことがない」未知の島。 名瀬を午前3時に出港するフェリーに乗り込むと否応無しに期待(と不安)が高まってい きます。
そして、朝焼けのなか、巨大な壁画に迎えられ降りたった 宝島・前籠港。民宿で朝ご飯を食べたら、真っ先に交通手段の確保を。島は観光地化が進んでおらずガイドさんもいない ので、個人行動が基本です。で、 子ども時代の足といえば自転車と決まっているので、電動自転車の貸し出しをしている場所を尋ねましょう。集落の中心にあるコミュニティセンターで小さな地図を貰うのも忘れずに。
ケータイは宿に置いてこよう
まず目指したのは、島の絶景ポイント「荒木崎灯台」。集落から南国ムード漂うアダンの生息地を抜けると、素晴らしき“不便”の世界が本格的にスタート。せんご泊(宝島港)の辺りから、電波の入っていたケータイも通じなくなるのです。 灯台への道のりは急勾配、両脇は森。立ち止まってフリーズする謎の鳥と目が合い、ハブかトカゲか絶えず草むらが揺れる。ケータイが通じなくなった途端、人は動物や虫の世界にお邪魔しているんだと悟る体験です。
そんななかを、さらに自転車で20分無心で走れば、灯台へ向かう道の入り口にたどり着きます。 奇岩の上に立つ灯台は、一本道を15分ほど歩いた場所にあります。そこからの眺めは、さすが鹿児島100景にも選ばれただけあり絶景の一言。しばし水平線を眺め、よし帰ろうと後ろを振り返ると...一本道にはいつのまにか何頭もの牛が‼︎ みなさん、至近距離で牛と対面したことはありますか。軽くパニックになり、とっさにケータイに手を伸ばしてしまう自分が情けない!(圏外)もはや灯台の絶景を忘れてしまいそうな強烈な状況。でもそこを突破すると、自分が少し強くなった気がしました。
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