立川志らくは「メッタ斬り」しているのか

今回の「ワダアキ考」で取り上げるのは、TBSの新しい朝の顔として新番組『グッとラック!』の司会に就任した立川志らくです。しかし、持ち味とされていた切れ味鋭いコメントがほとんどなく、視聴率も1%台と低迷しています。立川志らくの切れ味鋭いコメントとはなんだったのか、武田砂鉄さんが分析します。

「個性」ではなく「暴力」

神戸市立東須磨小学校で20代の男性教師が4人の教師から繰り返し暴行を受けていた事件について、梅沢富美男が「いじめられたって言ってるけど、あいつも男なんだろ。さっさとやり返せばいいじゃねぇかよ。何で黙ってなきゃいけないんだよ」(TOKYO MX『バラいろダンディ』10日)と発言した。梅沢の、「ブツクサ言わないで一発解決に持ち込んじゃう正直な意見を物怖じせずに言えるオレ」というプレゼンテーションを浴びて久しいが、その粗雑な意見の精度がいつになったら上がるのだろうと、少々の寛容さで待ち構えていたら、一向に改善しない。自分の視野の狭さを恥じらわずに、どんなことが起きても自分の視野に無理やりねじ込む腕力ばかりが増していき、それをテレビ局が「個性」として重宝している。だが、先の発言に見られるように、それは「個性」ではなく、端的に「暴力」である。

自分の経験や立場に引き寄せて、私はこう思いますと断言し、「私はこう思っているんです。そうですか。はぁ、あなたがどう思っているかなんてのは知りませんけどもね。私はこう思っているんですから」と繰り返すのは、議論として、姑息である。たとえば、一番おいしいおにぎりの具について議論する場面で、「私は明太子だと思っています。あなたは鮭ですか。そうですか、でも私は誰がなんと言おうと明太子ですね」で終わらせる人がいたら、ずっと一緒にはいられないと思う。しかし、テレビ番組に鎮座している「正直な意見を物怖じせずに言えると思っている」系の年長者には、こういった人が多い。番組を作る人たちは助かる。なぜって、この人は絶対「明太子」と言い続けると分かっているからだ。すばやく、対決っぽく見せることができる。

メッタ斬らなくてもいいのに
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往復書簡 無目的な思索の応答

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2019-03-20

この連載について

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

udonnomirai そのとおりです。 きっとすぐに番組なくなるだろうけれど。 28日前 replyretweetfavorite

dal_jal なんちゃって市長の河村某、なんちゃって勝手に自称談志後継者の志らく某、まさにお二方を語る上での正論はコレだ!!!! https://t.co/jh3IC33UXl 約1ヶ月前 replyretweetfavorite

24h_f_p 「そもそも、ニュースって、メッタ斬る必然性はないわけだが、メッタ斬りを期待していた人たちは、思っていたより斬らないなぁ、と感じているはず」 約1ヶ月前 replyretweetfavorite