第2章 from 1991 to 2003
東京大学“ 卒業”と天秤にかけた初めての事業計画書。 そして仲間、結婚、マイホーム、家族。 自ら「捨てるフォルダ」に 入れていったモノたちについて。
<童貞マインド>
女子が近くにいても挙動不審で まともに話せない。 なぜなら 「傷つきたくない」から。
1991年、僕は東京大学に入学した。
最初に住んだのは、東大駒場寮だった。
東大駒場寮に暮らした先輩方が、さまざまな場で述べているように、寮のなかはカオスそのものだった。
外壁にはツタが全面に絡まっていて、窓ガラスが割れているままの部屋が多かった。
入り口は古い立て看板が放置されていて、薄暗い廊下にはいつ捨てられたのか(置いてあるのか?)わからない家具や道具が山積していた。
壁のあちこちに学生たちが描いただろう落書きや謎の絵、戦中に書かれた厳めしいメッセージも確認できた。
東大の学生の個性を濃密に反映した、東大名物の「史跡」のひとつだった。
東大に入ったら、話の合う仲間ができる! やりがいのある夢が見つかって最高のキャンパスライフを過ごすんだ! ……僕は無邪気にそう思いこんでいた。
しかし現実は、大きく違っていた。
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