書籍化しました!
“よむ”お酒(イースト・プレス)
本連載『パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!』が本になりました。
その名も『“よむ”お酒』。
好評発売中!
ひとり飲みや、晩酌のお伴にぜひどうぞ
人にはそれぞれ濃度がある
以前ナオさんと飲んでいた時、「人それぞれに心地よい酒の濃度ってありますよね」という話になったことがあります。
コンビニの缶チューハイの棚を見ると、昨今主流になりつつあるストロング系、アルコール度数9%のものがずらりと並んでいる。それとは逆に、3%くらいのほろよい系がちらほらとある。つまり、そのあたりに一般的なニーズがあるということでしょう。僕は、缶チューハイはもっぱらタカラ「焼酎ハイボール」派で、これが7%。お酒は好きだけど濃ければ濃いほどいいと思っているわけではなく(居酒屋でホッピーのナカが濃いと喜ぶけどそれはまた別の話)、この7%くらいのチューハイが、意外とない。個人的に一番体になじむ気がするアルコール度数。いわば「マイ濃度」。ゆえに、コンビニでは割と妥協してお酒を買っていることも多いんですよね。実は。
アルコール度数の公式
そもそもの「アルコール度数」について、ない知恵を絞って考えてみましょう。
今、目の前に、度数25%の甲類焼酎があるとする。よく考えると何が25%なのか混乱しそうになりますが、ひとまず全体の液体量における「純粋アルコール量」と考えることにしましょう。残りの75%は、度数や味わいを調整するための、酒ではない何か。
次に、100mlの焼酎に、100mlの水分を足してみる。すると度数は何度になるのか? 僕は今まで、これがよくわかっていなかった。というか、自分の手に負える問題ではないような気がして、あまり真剣に向きあったことがなかった。しかしながら、一生そのままでいるわけにはいきません。いや、普通に考えるとそのままでいいんだけど、いわゆるその、こうしたエッセイなども書かせてもらっている酒好きとして、一度はちゃんと考えておかないと、という気がする。
そこで、全体と%の関係をしめす数式を調べ、それをアルコール度数の問題に当てはめてみました。すると、どうもこういうことになっているようです。
純粋アルコール量 × 100 ÷ 全体の液体量 = アルコール度数
つまり、先ほどの例で考えると、
25ml × 100 ÷ 200ml = 12.5%
となる。あれ? 意外と単純に、25度の焼酎に同僚の水分を足すと、度数は半分になるんだな。
次に、先ほどの「アルコール度数の公式」をこんなふうに入れかえてみます。
全体の液体量 × アルコール度数 ÷ 100 = 純粋アルコール量
たぶん間違えていないはず。ここにですね、タカラ焼酎ハイボールのロング缶を当てはめてみます
500ml × 7% ÷ 100 = 35ml
なるほど、あいつ1本に含まれる純粋アルコール量は35mlというわけか。ではストロング系なら?
500ml × 9% ÷ 100 = 45ml
10ml多い。効くわけだよな~。試しに、最初に例に出した、焼酎と水が半々の水割りが500mlあったとして、計算してみましょう。
500ml × 12.5% ÷ 100 = 62.5ml
ひ~! 単純に考えて、1杯でタカラ焼酎ハイボールの倍近く酔うってわけか。危険な液体だこと。
焼酎採集
ところで先日、とある記事の企画で、「アルコール濃度計」を購入しました。正式名称を「屈折計0-80%アルコール屈折計」といい、シンプルな顕微鏡みたいな見た目で、Amazonで2500円くらい。
よく飲み屋で「うわ、ここのチューハイ、濃いな~!」ってニヤニヤしちゃうこと、ありません? あの「濃いな~!」が、一体どのくらいの度数なのかを知りたかった。そこで、ゆく先々の居酒屋で焼酎を採集し、その度数を測り比べてみたんですね。すると、なかなか興味深い結果が出ました。
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