正しい家族」ではなく、「わたしの家族」を

徳瑠里香さんの連載、今回はお子さんが生まれて改めて感じたこと。家族ってなんだろう、に対する答えはわからないけど、徳さんが今感じている正直な気持ちです。徳瑠里香さん初めての単著『それでも、母になる』をcakesで特別連載。

それでも、家族をつくる

「とにかくたくさん抱きしめてあげて。いつまでもできるわけじゃないんだから」

 母が私の子育てに口を出すことはほとんどないけれど、時々こんなことを言う。この言葉を聞いて、私も母に抱きしめられた記憶がほんのり蘇る。物心ついて嫌だと思ったこともある。本気で怒られて泣いた後にぎゅっと抱きしめられて安堵したこともある。今は母に抱きしめられることなんてない。でも、抱きしめられた感覚は私の奥底に今でも残っている。

 自分が育ってきた家族と、自分が築いていく家族。その小さな共同体のなかで、子どもだった私は、母になる。抱きしめられて守られてきた私は、抱きしめて守る立場になる。

 私にとって、「母になる」ということは、同時に「家族をつくる」ことでもある。

 娘にとっての「拠り所」になり、いつでも帰ってこられる「居場所」をつくる。

 決して簡単にできることではないように思う。大人になって、親になって、家庭を子どもにとって寄る辺となる安心できる場所にすることは、当たり前にできることではないことを知った。きっとそれは、親である私たちだけで実現することは難しい。母も、自分が働きながら子育てができたのは、祖父母やきょうだい、友人たち、助けてくれる人たちが近くにいたからだという。私たちも、実家や友人、職場や保育園、家庭以外の関係性に支えられている。

 今はほとんど私の腕の中にいる娘も、これから自分の足で立って、どんどん私たち家族以外の人たちと関わるようになる。色んな環境のなかで、さまざまな人たちに影響を受けながら成長していくのだろう。子どもは親にだけ育てられるわけじゃないし、私たち親にとっても、家庭がすべてではない。娘には、親には言えないことを相談できる友人や、親も知らないことを教えてくれる先生や本との出会いを重ねて、自分の仕事や趣味を見つけて、世界を広げ、社会の中にも居場所をつくっていってほしいと願う。

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それでも、母になる

徳瑠里香

産まなければ母ではないのか、血がつながらなければ家族ではないのかーー。母になること、家庭を持つことに葛藤を抱えていた著者が、奇跡的な妊娠をきっかけに、母子の関係、そして、さまざまな境遇の女性たちを取材する中で考えた家族についてまとめた...もっと読む

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