今年の3月、日本の石油化学業界が注目するニュースが飛び込んできた。出光興産と三井物産が、折半出資で米国に合弁会社を設立し、2016年に石油化学工場を新設するというのだ。
製造・販売で提携するのは米国最大の化学メーカー、ダウ・ケミカル。総投資額は数百億~1000億円に達するもようだ。安価なシェールガスから化学製品を作る、日本企業初の大型案件である。
「石油化学産業で、これだけ安価な原料がしかも大量に出現することこそが、まさに革命」と児島大司・三井物産スペシャリティケミカル第一事業部長は熱っぽく語る。
天然ガスに含まれるエタンから作られるエチレンは、さまざまな化学製品の基礎原料だ。価格は日本勢が石油由来のナフサから作るそれの、4分の1~5分の1。このプロジェクトでは、ダウからエチレンを製造原価に近い価格で調達し、合成樹脂や洗剤などに使う中間製品を生産する。製品の一部をダウに供給することで、安定操業できるのが最大の強みだ。
安価なシェールガスを求めて米国進出を模索するのは出光・三井連合だけではない。
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