第7回】”第三の革命” ~日本に忍び寄る変革 (前編)

シェール革命と聞いても、日本でそれを実感する人は少ないだろう。日本は世界的な変革の潮流を読み、革命の恩恵を享受できるのか。大口需要家である電力、ガス会社の最前線を追った。

 「Regulated retail tariff」という聞き慣れない英単語がある。

 日本語に訳すると、「総括原価(方式)」。日本では、電力会社は電気供給に必要な費用を事前に見積もり、一定の利潤を乗せて電気料金を決められる。経費の削減努力につながらないとして、事あるごとにやり玉に挙げられる料金決定のメカニズムだ。

 「この言葉が、石油メジャーや産油国に驚くほど通じる。彼らは間違いなく、この方式を熟知している」と経済産業省幹部は話す。

 つまり、日本の電力会社側には燃料費を下げるモチベーションがない、と踏んで売買交渉に臨んでいるというのだ。今、経産省は、電力会社の燃料調達の手法に徹底的にメスを入れようと姿勢を先鋭化させている。

 その最大の理由は、電力各社が相次いで電気料金の値上げを申請する中、燃料費が原価の半分近くを占めていることにある(図参照)。人件費など他の費用を削っても効果は限定的。“元凶”の燃料費の削減を最重要課題に据えた。

 実際、昨年11月に値上げを申請した関西電力と九州電力は、5カ月にわたる審査の末、シェールガスの輸入を見越して、年間100億円の燃料費削減を迫られた。

 足元でLNG価格が上がっていることから電力会社には、「現時点での削減は厳しい」という不満もあるが、経産省は「これまで声を上げなかった電力会社が、高いガスは買えない、と言うのが大事だ」(幹部)とにべもない。

 しかも、増え続けるLNG輸入は、円安政策下では貿易赤字の押し上げ要因になる(図参照)。国家としても、LNG価格の低下は大きな課題なのだ。

 「これまで電力会社は『安定性』の大義名分の下、LNG調達で産出国に一種の“補助金”を支払っていたようなもの」と経産省幹部は強調する。そして、シェール革命は燃料調達の構図を一変させる可能性を秘めている。

東京電力の富津LNG基地。同社は「シェールの輸入は楽ではない」とことさら強調している
 
 
 
 
 
 
 

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シェールが起こす3つの革命 ~シェールは世界の何をどう変えるのか

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米国発の「シェール革命」が世界を揺るがしている。大量の“金脈”の誕生で、米国は新たな存在感を際立たせ、世界のエネルギー資源をめぐる既成概念を破壊しつつある。一体、シェールは世界の何をどう変えるのか、日本は大きな変化にどう対応すべきなの...もっと読む

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