九螺ささら「きえもの」

生ハムメロン】九螺ささら著『きえもの』好評発売中!

「生ハムメロンは半人半獣みたいだね」
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 抱いている抱かれているが反転し生ハムメロンはメロン生ハムに



 異業種交流会には純人間、不純人間、半人半獣、半獣半人、の四種が参加していた。

 半人半獣は二体だけで、彼とわたしは目が合って自然に近づいた。

 半人半獣にとって、今夜は下弦の月の、我々の獣が解放される夜だ。

 我々は、一夜だけの相手と愛を交わす。

 二人は異業種交流会の行われていたビルを出て、半人半獣がドライバーである、タイヤが革製のタクシーを止めて半人半獣専用ホテルに向かう。

 ドアマンがシッポを出しているのですぐ分かる。


 ルームサービスでワインと生ハムメロンを頼む。

「生ハムメロンは半人半獣みたいだね」

「動物と植物が合体していますね」

 二人は、日本のお盆のきゅうりの馬やナスの牛のように、生ハムメロンをナイフとスプーンで細工し出した。二頭とも、伊勢神宮で見た神馬に似ている。

 そう見ていると、ますますそうなる。

 やがて二頭は体積を増し、二人が乗れるほどの大きさになった。

 二人は生ハムメロンの神馬に乗り、浮き上がる。

 神話の国に帰ってゆく。




 指で押しどこまでも指が潜るならそのメロンはきみを愛している


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九螺ささら「きえもの」

九螺ささら /新潮社yom yom編集部

初の著書『神様の住所』がBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した歌人・九螺ささらによる、短歌と散文が響き合う不思議な読み物。電子雑誌「yomyom」に連載中の人気連載を出張公開!

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