就職! すぐ退職!

あっというまに大学院の2年が過ぎ、最後の1年は死ぬ気で勉強する。なんとか都内の税理士事務所にもぐりこんだ田村麻美であったが、なんとすぐに退職してしまうのだ!

ロッキング・オンのおかげさま

夏の税理士試験の日が、ふたたび巡ってきた。  
勉強していたつもりだ。1年間がんばったつもりだ。

12月に試験結果が出た。

受験した2科目、いずれも不合格。

不合格通知を受け取ったとき、号泣だった。

学生であるうちに最低2科目は合格したかった。

学生中に受験できるのはあと1回、来年の試験だけである。

来年受かるのだろうか。受かるしかない。でもこれまで1科目すら合格していないので、どれだけ勉強すればいいのかまったく想像がつかず、絶望の淵に追いやられた。

もう税理士試験の勉強をやめたいと思った。

逃げたくて逃げたくて、しかたがなかった。

そんなとき、ふと大好きな雑誌『ロッキンオン』(ロキノン)のホームページを見ていると、新卒採用を募集していた。な、な、なんと!

それまで経験者しか採用していなかったロッキング・オン社が、はじめて新卒者を募集していたのだ。  これは応募するしかない。

実は私、大のライブ好きで、下北沢などのライブハウスに通うのが、数少ない趣味のひとつであった。「ロキノン」系のバンドをこよなく愛していて、レミオロメン、アジカン、フジファブリック……などよく見に行っていた。

興奮した。ロッキング・オンの社員になれるかもしれない千載一遇のチャンス。

うろ覚えだが、たしか「①編集②イベント企画③経理……」的な職種別の募集であった。

なんとなく経理で応募した。

エントリーシートを書く必要があった。大学院に進学した私は、就活をしていなかったのではじめての経験だ。

「消費税が8%になった場合の、ロッキング・オンの強み・弱み」的なテーマを書いた。

無事にエントリーシートは通り、筆記試験へ進むことができた。

筆記試験は、一般的な時事問題や教養問題が出るかと思いきや、さすがロッキング・オン。ロッキング・オン社が出している本、雑誌をすべて読んでいれば解ける問題が出題された。

ジャンルは、洋楽・邦楽・映画・お笑いなど。私は邦楽関係の雑誌しか読んでいなかったので、洋楽関係の問題がまったく解けなかった。

・アジカンが最近出したアルバムの名前は? →即答「崩壊アンプリファー」

・タイタニックに出ていた主役の男性の名前は? →「…………」

まさかのレオナルド・ディカプリオが書けないという事件が起きた。  

私は、これが書けなかったから落とされたと思っている。いや、まじで。

このロッキング・オンの就活がいい気分転換になったし、何かが吹っ切れた。大学院1年の1月ごろだった。

落ちたことで、もう税理士試験しかないと思えるようになり、やっとやる気が出た私は、突然朝の8時から22時まで専門学校の自習室にこもり勉強をはじめた。

勉強は苦しかった。相変わらず書いて覚える丸暗記。ノートは真っ黒だ。

でもやるしかない。本当に「あとがない」と思ったのだ。

他者から比較される世界に生きていた私にとって何より大事なのは「世間体」である。

在学中に科目を取らないと、恥ずかしくてたまらない。

猛勉強のおかげで、学生最後の挑戦であった大学院2年の税理士試験で、目標としていた2科目合格することができた。 「残り1科目」の状態で私は大学院を卒業することになった。

なんとか「世間体」を保ったので、卒業して1年目の夏の税理士試験で最後の科目合格を目指すことにした。

4月から7月まで勉強に専念して、8月に受験。

結果が出るのは12月だが、もう就職することに決めた。

会計事務所業界は就職時期は9月が多い。8月の税理士試験後に合わせているからだ。


そして就職。すぐ退職

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田村麻美

税理士、大学院生、一児の母、そしてブスである田村麻美さんによる、「ブスが幸せな結婚&ビジネスでの成功」をかなえるための戦略論。誕生から、受験、処女喪失、資格取得、就職(即退職)、結婚・起業するまでの物語を赤裸々に記した半生記と、結婚・...もっと読む

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