ブスと就活と資格
大学2年の秋。
単位は落とさなかったものの勉強そっちのけで、彼氏・合コンのことばかり考えていた。
そろそろ卒業後のことを真面目に考えなければいけない。
長かった就職氷河期から雪解けの時期になりつつはあったが、一般企業への就職はまだまだ厳しい時代であった。
ブスを自覚していた私としては、大手企業への就職は厳しいだろうな……と考えていた。
なぜなら、同じ学歴であれば、見た目がいい人をとるだろう。
そして、就活といえばリクルートスーツ。みんな同じものを着ていたら、いっそう素材の良し悪しが際立ってしまう。
そんななか母親に言われた。
「OLにはなるな」
OLは一度会社を辞めたらもう戻れなくなる、というのが理由だった。
私には、特別なりたい職業もなかった。行きたい企業もなかった。夢もなかった。
いい男とやれればよかった。
当時は資格ブームで、同級生はこぞって大原簿記学校かTAC(資格の専門学校)へ通っていた。公認会計士、もしくは税理士講座である。
OLはダメと言われたので、「みんなが行ってるから」くらいの弱い動機で、私もTACへ通いはじめた。
文系の学部だったので、医者、薬剤師などの理系資格はもちろん除外して、弁護士、司法書士と考えたが、経済学部だし、公認会計士か税理士かな……。
深い思考もせずの二択であった。
まず、公認会計士の講座説明会に行った。
いまは科目ごとに受験ができるが、その当時の公認会計士は1回に数科目受験しなければならない最難関資格であった。なので、「大学にはほぼ行けませんよ。サークルなんてもってのほかですよ」と言われ、 「それは困る。私は遊びもしたいの。やりたいの」
ということで、1科目ずつ受験できる税理士試験に挑むことにした(ほんとに、なんでもよかったんである)。