森美術館のSNSは中の人が人気者にならなくていい、では運用の目的は?

企業のSNSアカウントといえば「中の人」が取り沙汰され、親近感や日常感のある投稿が好評です。中の人が人気になることは、たしかに影響力や拡散力の点から重要に思えます。しかし、森美術館の中の人である洞田貫晋一朗さんは「中の人が人気者になる必要はない」と強調します。SNS運用のゴールは美術館や展覧会のことを知ってもらい、来館してもらうこと。目的のためにどういう運用を心がければいいのか、著書『シェアする美術』から紹介します。

「中の人」が人気者になる必要はない

私がSNS担当者に着任した当初、最も悩んだのは「どの路線でいくか?」ということでした。

テクニック的なことはある程度、身についていましたので、フォロワーを集めたり、「いいね」を獲得する基本的な運用はすぐにでも実施することができます。しかし、それでは他のアカウントと同じになってしまう。

まず、ゴールはあくまで「来館」ということに絞りました。見てもらうだけ、「いいね」をもらうだけでは意味がありません。森美術館に来てもらうには、どの路線でいけばいいのか? その「方針決め」が肝心です。

有名な企業アカウントのように、自由にやってみようと研究したこともありました。当時、美術館のSNSアカウントで、「中の人」がフランクな調子でつぶやくアカウントはなかったので、他との差別化になるだろうと思ったのです。

しかし、いまではその方針をとらないでよかったと、心底思っています。

ツイッターで話題を獲得していく有名企業の「中の人」たちのやり方を否定しているわけではありません。その言動が「Yahoo!ニュース」に載ったり、ツイッターのトレンドに上がったり、とてつもない影響力があると思っています。ただ、おそらくそのアカウントのフォロワーは、企業のファンでもあるのですが、どちらかといえば「中の人」のファンだと思うのです。有名人をフォローしているのと同じような感覚です。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

2018年の美術展覧会「入場者数」1位・2位を獲得した秘密がここにある

この連載について

初回を読む
シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略

洞田貫晋一朗

森美術館のSNS運用を手掛ける洞田貫晋一朗さんの著書『シェアする美術』から、全12回にわたって連載形式で本の中身を紹介します。国内の美術館では随一のフォロワー数を誇る森美術館ですが、そこに至るまでにどんな工夫がなされてきたのでしょうか...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません