ギャラリートークをSNSで生中継、森美術館の新しい情報発信とは?

SNSにはテキストや画像を投稿するだけでなく、ほかにもいろいろな機能があります。その中にはTwitterのPeriscopeのような生放送用のツールも。早くからSNSを活用している森美術館では、アーティストが来館者に作品の見所を解説するギャラリートークを生中継しています。同館のSNSを担当する洞田貫晋一朗さんは、生中継はフットワークが命だと強調。その考え方、さらにSNSをリサーチに役立てる方法について、著書『シェアする美術』から紹介します。

SNSの「生中継」はフットワークが命

森美術館では、アーティストを招いたトークイベントや、ギャラリートークなど、展覧会に関するイベントを定期的に行っています。

ギャラリートークは、アーティストやキュレーターがお客さんと館内を回りながら、作品の見どころを解説していくため、会場のキャパシティの都合上、実際に参加できる人数がどうしても限られてしまいます。同様に、トークセッションや、ワークショップでも制約があります。本当は来たかったけれど、スケジュールの都合で断念したお客さんもたくさんいらっしゃるでしょう。

そこで私は、インターネットを通じてイベントを「生中継」する試みを、機会があれば行っています。担当キュレーターが展示の解説をしたり、アーティストが自分の作品をその場で語ってくれたりという、とてもぜいたくな機会なのに、それを体験できるのが数十人ではもったいないと思ったからです。

生中継の際は、次の写真のような「撮影キット」を使って、自ら撮影と配信を同時に行っています。用意するのは、スマートフォン、音声を拾うためのインカムマイク、そしてスマートフォンを固定できるもの。たったこれだけです。

イベントの生中継で使用した道具
イベントの生中継で使用した道具

それだけですか、と驚かれることがありますが、これだけで十分です。オフィシャルな資料として残す記録映像なら、本格的な4K動画を撮れるカメラが必要かもしれませんが、生中継はフットワークが命です。何かあったらすぐに駆けつけて、その場で配信するためには、機材はシンプルであるほどいいでしょう。

特にギャラリートークは、解説者を追いかけないといけないですし、他のお客さんの邪魔になってもいけません。なので、軽いことはかなり重要です。そもそも視聴者はこの場合、高画質な映像を求めているわけではありません。トークを漏れなくお伝えすることが最優先です。

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シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略

洞田貫晋一朗

森美術館のSNS運用を手掛ける洞田貫晋一朗さんの著書『シェアする美術』から、全12回にわたって連載形式で本の中身を紹介します。国内の美術館では随一のフォロワー数を誇る森美術館ですが、そこに至るまでにどんな工夫がなされてきたのでしょうか...もっと読む

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コメント

zoukeionline 面白い取り組みだなと思いますよね。 3ヶ月前 replyretweetfavorite

tgkr この連載おもしろい。 3ヶ月前 replyretweetfavorite