「シェア」は美術館のルーツでもある
SNSの普及で、「シェア(共有)」という言葉が当たり前に使われるようになりました。最近では、シェアハウス、シェアサイクル、カーシェアなど、社会の隅々にまでこの「シェア」という言葉が広がりつつあります。
実は美術館も、「シェア」がルーツにあることをご存じでしょうか? ここで少し、美術館の歴史にも触れておきたいと思います。
世界最大の規模を誇る、フランスのパリにあるルーヴル美術館。その収蔵品はなんと38万点以上、年間800万人以上が訪れる、世界で最も入場者数の多い美術館のひとつです。
ルーヴル美術館の外観
ルーヴル美術館は、歴代フランス王の王宮として使用されていたルーヴル宮殿の一角にあります。このことからわかるように、もともと美術品は、王族・貴族といった特権階級の所有物でした。
ルーヴル美術館において有名な《モナ・リザ》もそうです。この作品は、作者レオナルド・ダ・ヴィンチの死後、当時のフランス王、フランソワ1世が買い上げました。そして100年以上、彼らの住む宮殿に所蔵されていたそうです。
そんな《モナ・リザ》が、なぜ一般市民に公開されたのか。きっかけは、1789年に起こったフランス革命です。この革命によって、特権階級によって独占されていた美術品が、市民へと解放、つまり「シェア」されました。
ルーヴル美術館は、フランス革命から4年後の1793年に開館しました。ルーヴル宮殿の収蔵庫が、市民に開かれたわけです。このように美術館の起源には、シェアの思想が深く関わっています。
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