【前回の流れをおさらい】
ヤマトタケル、東(あずま)へ向かう。
オトタチバナヒメの入水②
ヤマトタケルが相模(さがみ)から上総(かずさ)に渡ろうとしたとき、海を見渡して、
「ふん、なんだこんな小さな海は跳んで渡れそうだなあ」
と大言壮語しました。
ところが、海に出てみると、暴風が起こり、船は流されて漂い進むことができなくなってしまいました。そのとき、ヤマトタケルに従ってきていた妃(きさき)・オトタチバナヒメ(弟橘媛)は、
「ヤマトタケル様、風が起き波が荒れ船が沈みそうなのは、きっと海の神がお怒りになっているからです。卑しい私が、皇子に代わって海に入りましょう」
そう言うやいなや波間に身を投げ、海の底に沈んで行きました。すると暴風が止み海はたちまち凪ぎわたりました。船は無事対岸に着くことが出来たのです。人々はその海を馳水(はしりみず)※1と呼びました。
ヤマトタケルは上総から陸奥国(みちのくのくに)※2に入り、船で蝦夷の地に進んで行きました。
蝦夷の首領・シマツカミ(島津神)、クニツカミ(国津神)らが、竹水門(たけのみなと)※3で防ごうと屯(たむろ)していましたが、彼方のヤマトタケルの船団の勢いを見て恐れ、勝ち目がないと思い、弓矢を捨て、仰ぎ拝んで衣を濡らして海に入り、ヤマトタケルの船を押して岸に着け、服従しました。
ヤマトタケルは蝦夷の罪を許し、首領を捕虜にして従わせました。
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