ヤマトタケル、東(あずま)へ向かう。
オトタチバナヒメの入水①
その頃、東国(あずまのくに)の蝦夷(えみし)が叛乱を起こして辺境に動揺が走りました。
景行天皇が誰を派遣しようか臣下たちに諮(はか)りますと、ヤマトタケルが進み出て言いました。
「私は西征に行かせていただきましたので、今回は兄のオオウス(大碓皇子)が良いと思います」
その言葉を聞くやいなや、オオウスは驚き、逃げて行って草原に身を隠しました。天皇は人をやって捕まえさせ御前に連れて来させると、
「何も逃げることはないだろう。嫌だと言う者を遣わすことはない。なんだ、そんなに怖がって」
と言って、オオウスを美濃を治めるために遣わしました。ヤマトタケルは気丈に言いました。
「熊襲を平定して間もないのに、今度は蝦夷が叛(そむ)きました。一体いつになれば全てを従えることができるのでしょうか。なんとか私が、急ぎ蝦夷の叛乱を平らげに参りましょう」
天皇はヤマトタケルを将軍に任じました。
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