模様に隠されたモチーフはなに? バラエティゆたかな江戸の着物

上野にある東京国立博物館をひと巡りしながら、日本の美術史を概観するアート連載。舞楽の伝統衣装を見たあとは、江戸時代の人々が日常的に着ていた着物のコーナーへ。世の中が安定した江戸時代では、着飾る文化も盛り上がり、着物の模様はバラエティゆたか。カタカナが散りばめられた大胆な町人の着物がある一方で、お堅く思える武家の着物にも、さまざまな意匠がこらされています。アート・コンシェルジュといっしょに奥深い着物の世界をのぞいてみましょう。

着物の意匠は身分で変わる

 さらに歩を進めていくと、「8室」と掲示してある大きな展示空間に出た。この部屋でまず目に入るのは、広げて展示された、色とりどりの着物だ。

 前回、舞楽という伝統と格式ある世界で用いる衣装を眺めていたせいか、ここにあるものはずいぶん軽やかに見える。

「安土桃山~江戸時代にかけての、暮らしの調度や書画を展示する部屋になっています。当時の人々の生活に即したものが多いので、ぐっと心安く感じられるかもしれませんね」

 こうして見ると、和服ってほんとうに華やか。「着飾る」とはまさにこのことだって感じがする。

「たしかにそうですね。とりわけ江戸時代の衣服は、意匠が凝らされていて見応えありです。社会が安定してくると、衣食住にかかわるものはどんどん洗練されていくものです。ただ、同じ江戸のものといっても、身分によって、好みや雰囲気は、かなり違っていたようですよ」

 身分、というと、町民と武家では趣味がぜんぜん違うとか? 時代劇なんかの影響かもしれないけれど、町民は明るく開放的、武家の奥方は規律を重んじ凛として、「お家」を守るため苦心しているイメージ。

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上野で2時間で学びなおす日本美術史

山内宏泰

気になった企画展などに行ってみるけれど、いまいち作品の魅力を味わいきれていないように思っているあなた。美術史の大まかな流れを知れば、アートはもっと楽しく鑑賞できます。『上野で2時間で学びなおす西洋美術史』(星海社新書)で登場したアート...もっと読む

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