3年前の「事件」を機に撲滅されたと思われていたステルスマーケティング(ステマ)だが、今も形を変えて横行していることが本誌の取材で明らかになった。
ステマとは、企業から料金が支払われて作成される記事広告であるにもかかわらず、本来行うべき「広告」などの表示をせずに純粋な記事であると偽装し、読者を欺くマーケティング手法を指す。
企業は広告料金よりも安い割に高い効果が見込め、仲介する広告代理店やPR会社は効果の高いサービスとして売り出すことができ、ウェブメディアは売り上げが立つ。読者を欺くこと以外はいいことずくめで、長らくウェブメディアに巣くってきたあしき慣習だった。
それを問題視したのがヤフーだった。2015年7月、ニュースの提供契約を結ぶ報道機関がステマ記事を配信した場合、契約解除も含めた対応を取ると発表。実際に「マイナビニュース」「マイナビウーマン」「モデルプレス」との契約解除に踏み切るという“ステマメディア切り捨て事件”があった。
これで業界内にはステマ排除の流れが一気に生まれた。業界団体の日本インタラクティブ広告協会が策定した「インターネット広告倫理綱領および掲載基準ガイドライン」に、「広告であることの明示」が含まれているという認知も広がった。
だが、うまみのあるグレーな手法であればあるほど、規制されたときにルールの盲点を突くように進化し生き残っていくのは世の常。ステマも例外ではなく、ガイドラインで定めた規制の手薄なところを狙う新たな手法で生き残った。
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