建前をちゃんとしないという軽率
【登場人物】
清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業
森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員
ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員
清田 桃山商事の恋バナ連載、今月は「恋愛と軽率」について語っています。
ワッコ 軽率のあるある案件はコンドームじゃないですかね。
清田 えっ?
森田 いきなりぶち込んできたね(笑)。でも確かに、コンドームの軽率話はよく聞くかも。ある女性は、「彼氏と初めてエッチしたときに、元カノとの使いかけっぽいコンドームの箱を出してきて、デリカシーがないし軽率だなと思った」と言っていた。
ワッコ 同じことを言っていた男性もいましたよね。
清田 「その途中っぽいコンドーム、何?」っていうね。これはさ、「童貞(処女)だと思ってたのに!」って話ではなく、建前をちゃんとしてくれって話だよね。
森田 コンドームを常備していること自体は、悪いことではないしね。
ワッコ 元カノや元カレの存在を匂わせるようなことはあえてしなくてもいいんじゃないかなぁ。
清田 その辺の気遣いや演出に対するエネルギーを感じないところが、相手に軽率と思わせるのではないだろうか。
森田 ある程度の歳になったら、多くの場合、相手にセックスの経験があることは想定できるわけだよね。それでも「使いかけのコンドームの箱」に気持ち悪さを感じてしまう……そういうところが、恋愛の面白いところだよねぇ。
清田 「マナーとして、家には常に未開封のものを数箱用意しとく」という人もいたよね。常に新しい箱から出すことで、フレッシュ感を味わえるのかな。
ワッコ 新鮮なコンドーム(笑)!
森田 別に使いかけの箱でも気にしないという人もいるから、感覚の違いも大きいよね。
思わず出してしまった助け舟
ワッコ これはかなり昔の話なんですけど、当時付き合っていた彼氏の家に久しぶりに遊びに行ったら、「絶対にわたしとしたときのじゃないだろうな〜」というコンドームのゴミが落ちていたことがあったんです。ゴミといっても、パッケージの切れ端なんですけど、とにかくおかしいなと思い「これは何?」と追及しました。
森田 動かぬ証拠を押さえたわけね。
ワッコ 彼は狼狽して、「あ」とか「う」とかしか言えなくなってしまった。それを見たら、なんだかかわいそうになっちゃって……。
清田 リアルな狼狽を見て思わず同情してしまう感じは、ちょっとわかる。そこで追求の手を緩めたの?
ワッコ 緩めたどころか、「コンドームをつける練習でもしてたんですか?」「童貞なんですかー?」と、イジるような感じで助け舟を出してしまったんです。彼が何も言わなくても、その場の変な空気がふわっとなるようにしてあげた。
森田 優しいなぁ。本来なら怒ってしかるべきなのにね……。ワッコ的には、その助け舟が軽率だったと思ってるの?
ワッコ それもそうなんですけど、そもそもコンドームのゴミが落ちてること自体、死ぬほど軽率じゃないですか。
清田 ど軽率だよね。
ワッコ わたしは抜き打ちで行ったわけじゃないですからね。「行きますよー」とアナウンスして行ったら切れ端が落ちてたわけですから。
清田 それにしても、「切れ端」ってだけでコンドームだってわかるものなの?
ワッコ どんなに小さくてもわかりますよ。
森田 (目の前にあったお菓子の袋を手に取って)これの切れ端と区別つく?
ワッコ つきますよ! だって、コンドームのパッケージにはマチがないじゃないですか。
森田 あ、なるほど(笑)。
清田 厚さがないってことか。って、そんなこと考えたこともなかったけど……コンドームのパッケージにはマチがない。
森田 真理だ。
ワッコ わたしは数々のチン事件を解決してきたので、小さな証拠も見逃さないんです。
清田 ワッコ捜査官!!
浮気はコンドームのゴミでバレがち
清田 今の話とは男女が逆なんだけど、そういえば俺の知り合いの女性も、コンドームのゴミで浮気がバレたことがあると話していた。
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