メディアの新序列

アマゾンから日経、TikTokまで 動画を制す社がメディアを制す

【テクノロジー格差】
大容量のデータ通信が可能になる5G(第5世代移動通信システム)の運用開始をにらんで、大手新聞社から新興ウェブメディアまで、あらゆるメディアが動画事業へ参入している。

 「民放はネットフリックスに駆逐されてしまうのではないか」──。そんな懸念の声が業界内から聞こえてきたのは、2015年9月、世界最大の定額動画配信事業者である米ネットフリックスが日本に上陸したときのことだ。ネットフリックスでは莫大な視聴データを分析し、その人が好むであろう映画や番組をお勧めしてくれる。当然、テレビにはそういった心地よさはない。そんな未知の視聴体験に日本の視聴者は衝撃を受けたのだ。

 しかし、それから3年たった今、日本の動画配信市場は当時、誰も予想しなかった展開を見せている。

 何よりまず、民放各局がネットフリックスなどの海外勢に駆逐されることはなかった。

 逆に定額配信プラットフォームとして国内民放最大手のFOD(フジテレビ系)は、約80万人の有料会員を獲得。事業単位で黒字を達成している。

 スマートフォンのアプリストアのデータを集計する、独プライオリデータ社の18年9月13日~10月12日における月間アクティブユーザー数(〈MAU〉日本国内、アップストアとグーグルストアの合計数)は、ネットフリックス292万人、FOD263万人。駆逐されるどころか互角に渡り合っているのだ。


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 また民放5局が異例のタッグを組み、15年10月に見逃し配信プラットフォーム「TVer」のサービスをスタートさせた。普段は視聴率で競い合う民放同士が海外勢に対抗するため、初めて足並みをそろえた格好だ。

 このように民放各局が対海外勢シフトを敷いたこともあって、国内市場において両陣営は拮抗しているのだが、それまで民放各局の社内では、「動画配信に力を入れれば、地上波の視聴率が落ちるのではないか」という議論が常に存在していた。

 ちょうどインターネットやツイッター、フェイスブックといったSNSにテレビ視聴時間を奪われ、若者のテレビ離れが指摘されていたころだった。テレビ局内でそういった“恐怖”におののくのは無理もないことだった。

 しかし、右往左往していればテレビ離れはさらに進むだけ。民放各局は恐る恐るドラマの見逃し配信や過去のコンテンツ配信を始めたところ、そこは腐ってもキー局。番組コンテンツ力の高さで、意外にも会員数を積み上げ、今に至ったのだ。

エンゲージメントを高める手段として
注目する活字メディア

 ただし、国内における海外勢と民放各局との微妙な均衡がこれからも続くわけではない。

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週刊ダイヤモンド 2018年10/27号 [雑誌]

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ダイヤモンド社; 週刊版
2018-10-22

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混迷の度を強めるメディア業界は、テクノロジーの劇的な進化によってさらなる変革の波にのまれており、これから数年で業界の序列は大きく変わる可能性が高い。新序列を決めるのは「財務」「テクノロジー」「人事」「待遇」という4つの格差だ。勝ち残る...もっと読む

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