多くの速報記者を抱える日本経済新聞社の関連会社、日経QUICKニュース社(NQN)は近く、記者を人工知能(AI)に置き換えることになるかもしれない。
すでに「日経電子版」では2017年から、AIが全上場企業の決算を発表直後に自動で速報するサービスがスタートしており、NQNが配信している経済指標や相場関連の速報記事もAI化できるとの議論が一部で進んでいるというのだ。
メディアによるAI導入は世界的にも急加速している。
例えば、米「ワシントン・ポスト」はAIエンジンを自社開発し、選挙記事やスポーツ記事を自動執筆しているし、14年に「AI記者」を導入した米AP通信では決算記事の出稿量が10倍超に急増。17年には、AIの画像認識技術を活用した奴隷漁業の報道でピュリツァー賞まで受賞した。
日経が経済指標や相場の記事にまでAI化の仕組みを拡大すれば、業界内でAI記者の流れはさらに加速するだろう。そもそも日経は1970年代に世界で初めて新聞作りにコンピューターを導入するなど、もともとテクノロジーを重視する土台のある会社だ。
外注していた電子版アプリの開発でも、より柔軟な対応をするために14年にいち早く「内製化」に踏み切った。
内製化に当たってはテック、デジタル人材にも惜しみなく投資した。UI(ユーザーインターフェース)コンサルタントに多くの有名企業のウェブサービスやアプリを改善してきたザ・ギルド代表の深津貴之氏、技術顧問にニフティやはてな、グリーで活躍したエンジニアの伊藤直也氏を迎え入れるという、何とも豪華な布陣で開発に臨んだ。
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