ヤリチンか、草食系か。二極化する日本男子の性欲
白河 次に気になるのが「日本男子の性欲は、いま、どうなっているのか」っていうところですね。
二村 ここしばらく男性の性交渉率が下がっているのが問題視されている……、って話題になっていますよね。ほんとうに昔の日本人男性の性欲は、もっと旺盛だったんでしょうか?
白河 いまに比べたら、昔のほうが男性が性欲に対してストレートだったんじゃないかと思います。たとえば団塊世代のオジさんに「なんで結婚したんですか?」って聞くと、だいたい「そりゃ(セックスを)ヤリたかったからに決まってるでしょ! ワッハッハ」みたいな答えが返ってきますから。
二村 わっかりやすいなー! 高度成長のころの男性には「安定したセックスが供給されるから、結婚した」っていう人は多かったんでしょうね。
白河 そうみたいです。でも、いまの時代はこういう男性はほとんどいないですよね。そのころの人たちと比較すると、日本人男性の性欲は次第にシュリンクしているのかなぁって、ちょっと思えてしまうんですよ。
二村 うーん。僕が思うに、性欲に関して現在の日本の男性は、二極化していると思いますよ。
白河 二極化、というと?
二村 【ヤリチン】か【草食系】、このどちらかになっている。ヤリチンの人は性欲が旺盛なんだけど、誰か1人の女性だけを選びたいとは思わない。一方、草食系の人は、いろんな人とヤリたいどころか「毎晩セックスするのは辛い」と思っている。
白河 AVを始めとしたアダルト・コンテンツがあるので、生身の人間とのセックスがいらないので草食系男子でいられる、っていうのも大きいですよね。
二村 そうです。別のもので代替して消化できちゃって、生身の相手がめんどうくさくなってくる。そう考えると【日本人男性の「性欲」の総量】自体は、じつはそんなに減ってはいないんじゃないでしょうか。
白河 風俗ビジネスは豊富だし、いまではタダで動画や画像が手に入りますからね。三次元だけじゃなくて、漫画やアニメなどの2次元もあれば、フィギュアなどの2.5次元もある。それに加えて、AKB48とかアイドルも充実している。日本は、世界で一番『生身の恋愛をしなくても性欲が解消できる国』ですよね。でも恋愛大国のフランスなどでは「AVや雑誌やプロなど、お金を払って恋愛の代替行為をする人は、かっこ悪い」と思われているそうですよ。
フランスにも「非モテ男子」はいるのか
二村 一方の日本では「お金を払わないと性欲を解消できない人」がたくさんいるから、アダルト・コンテンツや性風俗産業が発展してきたのだとも言えます。でも、これは常々疑問なんですけど、そんなに恋愛大国だといわれるフランスには、モテない人とか、恋人がいない人は、いないんですか?
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