ひとり酒、みんな酒【スズキナオ】

一人で飲むか、みんなで飲むか。それが問題だ! どっちだっていいって? いやいや、まあそうおっしゃらずに。だって人には向き不向きというものがあってですね…。今回はスズキナオさんによる「ひとり酒、みんな酒」考です
なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、ぬるーく書いていくリレーエッセイです。過去の連載へはこちらから。

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居酒屋で一人飲み

ここしばらく、節酒期間のつもりで過ごしている。家でお酒を飲むのを極力控え、基本的にはノンアルコールビールで代用。友人に飲みに誘われるのは嬉しいので、そういう時はたくさん飲む。仕事で居酒屋を取材する時なんかももちろん飲む。以上! と、そういう風に過ごしていると“一人で居酒屋で飲む”という時間がほとんどなくなってしまった。

しかし、考えてみれば、私はそもそも一人で飲みにいくということをそれほどしてこなかったのではないか。特にここ数年、大阪に越してきてからというもの、一人ではあまり飲みに出なけなくなった。いや、公園のベンチで缶チューハイ、とか、何かの帰り道にコンビニで買った発泡酒を、とか、そういう一人酒は頻繁に飲むのだが、居酒屋で一人しっぽりと飲む、という時間を久しく過ごしていない気がする。酒好きライターみたいなことを言っておきながら、恥ずかしい限りである。

何してりゃいいんだ!?

正直なところ、一人で店で飲んでいる時、何をして過ごせばいいかわからないのである。もちろん、酒を注文する。つまみも2品か3品は注文する。しかし、いかんせん一人なので、出てきたつまみをどんどん食べる。皿があっという間にスカスカになっていく。刺し身が最後に一切れ残った状態で「あっ、これ食べ終わったらつまみが何も無くなるな」と、気づく。つまみゼロではお店に居づらい気がして、そうなると追加で何か注文するか、「いや、でももう割とお腹は満たされたしな……」と、いつもそんな調子である。ええい!と半分残っていたレモンハイを飲み干し、最後の刺し身を口に放り込んで店を出る。

こういった場合、本当はもっとゆっくりと料理を楽しみ、食べ終わるまでの間に2杯、3杯とお酒を飲めばいいんだろうとわかってはいる。だが、ゆっくり料理を楽しむっていう、それができない。一口目と二口目の間の時間、何してりゃいいんだ!?

壁のメニューを見る……もうお腹もいっぱいだ。考え事をする……サボって締め切りが迫った仕事のことばかり考えて落ち込む。スマホを取り出してツイッターを見る……みんなが何言ってるのか全然わからない。と、何をしてもしっくりこず、手持ち無沙汰な感じになる。

一人飲みと複数人飲み

もうずっと昔のことだが、生まれて初めて一人で飲みに行くことを思い立ち、勇気を出して高田馬場の焼き鳥屋に入った。その時は文庫本を持っていった。これを読みながらゆっくり飲もう、と思ったのだ。しかし、店によるのかもしれないが、居酒屋の中って結構ガヤガヤしていて、気が散る。文章が全然入ってこなくてすぐ本を閉じた。これだったら近くの席のおじさんたちの話をなんとなく聞いている方が楽しいように思えた。

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“よむ"お酒

パリッコ,スズキナオ
イースト・プレス
2019-11-17

この連載について

初回を読む
パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!

スズキナオ /パリッコ

なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、...もっと読む

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