居場所に「依存」してはいけない
しかし、そうやってSNSに居場所ができると、SNS中毒の人が出てきてしまいます。その理由は単純で、1つにリアルで誰かと話しているときと違い、すぐに反応が返ってくるわけではないことと、2つ目は影響力の広がりという意味でギャンブル的要素があるからです。
前者についていえば、対面コミュニケーションでは自分が何か発言すると、一瞬で相手からのリアクションが返ってきます。すると、誰がどれだけリアクションを返してくれたかが一目瞭然です。
しかし、SNSでは投稿に対して、いつ誰からどのような反応が来るかは、まったく予測不能です。ですから、頻繁にSNSアカウントをチェックし、反応の有無を何度も確認してしまいます。しかも、そのときに必然的に他のアカウントが目に入り、「自分のSNSは反応が薄いのに、どうしてこの人のは?」と嫉妬し、その投稿が気になり、延々とチェックがやめられなくなってしまいます。
また、他の人よりも、自分の投稿を目立たせたいという意識が生まれ、自分の投稿内容をもっと面白く、刺激的にしなければというループに突入します。その結果、写真映えするような投稿をするために、食べたくもない物を注文したり、高級品を購入するなど、まさにギャンブルのようにやめられなくなります。
近年、動画によって逮捕されているYouTuberをよく見聞きしますが、これもまったく同じです。周囲の興味が尽きないように、より刺激的な動画を撮影し続けています。そうしているうちに周囲からの関心を失うことが恐怖になり、もっと刺激を強めるための負のループに突入し、抜け出せなくなってしまうのです。
さらには、ネタの反響がどう広がるかという「ギャンブル」に勝つために一日中、SNSを確認し続けることにもつながります。本人はSNSこそが自分の居場所と錯覚してしまいますが、これは単なる「依存」です( ページの図における❷の居場所としては、まったく機能していません)。
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