第1章 「居場所」とは何か?
あなたの正しい居場所を探そう
居場所がないという感覚は、「集団の中で自分の役割がわからず、とるべき行動が思いつかない状態」に陥ったときに発生することを、「はじめに」で述べました。逆にいうと、居場所を確保するには、集団の中にいるときに自分の役割を明らかにし、とるべき行動を明確にすることを意識すればいいということになります。
もし今、誰かから白い紙とペンを急に渡され、「今すぐ、自由に絵を描いてみてください」と言われたとしたら、どうでしょうか。おそらく非常に困惑し、「え?今ですか?」と聞き返すだけで精一杯の人がほとんどだと思います。その理由は、『お題』が自由すぎるので、何の絵をどうやって描くかという目的を瞬時に自分の中で設定できないからです。
しかし、もし動物のイラストの塗り絵と色鉛筆を渡されて、「何でもよいから、今すぐ色を塗ってみてください」と言われたら、全員ではないにしろ、多くの人がすぐに何らかの色を塗り始めることができるはずです。
実は人間にとって「自由」というのは、非常に居心地が悪いものです。何らかの『お題』があり、そこから自分が果たすべき役割(=達成すべき目的)を自分で見出してはじめて、人は自由に動けるようになります。
それは、即興の芝居の上だけでなく、台本のない人生でも同じで、自分にとって居心地のよい居場所には、自分に対する『お題』と、行動目的が明確に見える「役割」が必ずあるということです。
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