ポテンシャル採用の日本、インターンシップ制度の欧米
日本の新卒一括採用は、世界的にみれば、「ポテンシャル採用」と呼ばれるものです。
ポテンシャルとは「潜在力」です。
実績はまだないけれど、伸びる可能性の高い20代の人を採用します。
日本の新卒一括採用は、新卒者を数か月の試用期間(一般的には3カ月)ののち、正規雇用するシステムです。試用期間中も初任給がほぼ満額で支払われて、労働基本権が保証されております。
企業側としても、一括で採用すれば研修費が安上がりですし、同期同士が親しくなることで、新人の定着率があがります。
インターンシップ制度が主流の欧米では、新卒者はインターンシップや職業訓練を重ねながら自分のキャリアを作っていきます。インターン期間中は半数近くが無給です。アメリカのFBIなどの政府機関のインターンシップは無給で残業あり、しかもインターン選考に応募するにも推薦状が必須だそうです。1年か2年のあいだ働いたあと、雇用契約を結びます。
じゃあ、欧米のインターン生はどうやって暮らしてるの?——と、不思議になりますが、無給インターンは学生のあいだに済ませ(奨学金と仕送りで暮らす)、卒業後は、無給インターンの経歴を元に低賃金のインターンシップに応募して、採用されるまでバイト掛け持ちや親の支援で食いつなぐのだそうです。
日本の新卒一括採用には批判も多いのですが、新卒者が法的な保護を受けられる点では世界一でしょう。その手厚さゆえに、雇用の流動性が低くなり、転職が難しくなってるのですが。
親がつい言ってしまう「公務員を目指せば?」
就職説明会がオープンになった去年の春、わが家の元就活生が、こうつぶやきました。「どういう仕事に向いてるのかわかんない」と。すべての就活生が抱く悩みでしょう。
親の返事はおおむね決まってます。
「公務員を目指せば?」
親ですら、あなた向きの仕事を思いつかないのです!
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