あいちトリエンナーレ—揺れる大地のうえでつくられた、3.11以後のアートたち

花火大会から野外フェスまで、さまざまな「夏祭り」が開催された8月。3年に1度の会期を迎えたのが、愛知県で行なわれる国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」です。名古屋市内を中心に8つもの会場で展開されるのは、廃材でつくった庭園や太陽をモチーフにした結婚式場など、どれも個性ゆたかな展示ばかりですが、それらの背景には、「震災」を想起させる共通のテーマが設定されています。会場をめぐりながら、自分の立っている大地について思いをはせてみてはいかがでしょうか。

8月も半ば、暑さもこのあたりがピークでしょうか。そうあってほしいものですね。わたくしは、いま愛知県に来ております。こちらでは現在、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」が開かれているのです。

ある地域全体を会場として設定し、各所でさまざまな作品を展開する芸術祭は、昨今世界中で行なわれている催しです。このところ、日本でもよく見かけるようになりましたね。よく知られたところでは、イタリアのベネチア・ビエンナーレや、国内なら横浜トリエンナーレ、今年まさに開催されている瀬戸内国際芸術祭などでしょうか。

「ビエンナーレ」とはイタリア語で、「2年ごとに」という意。「トリエンナーレ」のほうは「3年ごと」。つまり、2年に1度開かれることになっているのがビエンナーレで、3年に1度開く場合はトリエンナーレと名乗るのです。

大都市・名古屋を有する愛知県でも、国際的な芸術祭をしようとの機運が高まり、2010年にあいちトリエンナーレの第1回が開かれました。3年後の今年、晴れて第2回を迎えたわけです。

今回は名古屋市内を中心にして、あちらこちらに会場が設けられました。メインとなる愛知芸術文化センターでの展示を観てみましょうか。

同センターが位置するのは、名古屋きっての繁華街、栄の真ん中。すぐ隣には名古屋のシンボルたるテレビ塔がそびえていますよ。文化センターの8~10階は愛知県美術館となっており、そこが全面的に会場として使われています。もともと美術館なのだから当然ですが、落ち着いて鑑賞できる環境はありがたいですね。

10階から回ってみますと、最初の部屋がいきなり、古い木材や鏡で埋め尽くされていて驚きます。一見、廃墟のよう。ですが、一つひとつのモノはちゃんと計算のうえ置かれているようで、場の全体にゆったりとした秩序が生まれているのが感じ取れます。

中国のアーティスト、ソン・ドンによる《貧者の智慧:借権園》という作品は、古い家具や廃材を利用して庭園をつくりあげてあります。なるほど、庭だと考えて空間を巡ってみれば、たしかに歩を進めるごとに違う景色が見えてきて興趣をそそる。ふと視線を移せば、鏡に映る自分の姿が目に入ります。ずいぶん満足そうな、その場に浸りきった表情をしていることに気づいたりして、ちょっと照れくさくなりますよ。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
アート・コンシェルジュからの便り

山内宏泰

世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません