やったことがないからやりたくない」の衝撃〜チャレンジしたがらない子どもたち

新しいことにチャレンジしたがらない子どもたちが増えている。その背景には「自己肯定感」の低さがあったーー。では、子どもの自己肯定感を支えるために親や大人ができることは何なのでしょうか? 放課後NPOアフタースクール代表の平岩国泰さんが、5万人の子どもと向き合う中でたどりついたメソッドをご紹介。全国の親御さんから大反響の子育て本『「自己肯定感」育成入門』より特別連載でお届けします!

「やったことがないから、やりたくない」

私は、小学校施設を活用し、地域社会とともに子どもを育てる「アフタースクール」という、放課後の子どもたちの創造的な空間づくりを目指すNPO法人を運営しています。

子どもが、毎日の放課後を安心して自由に過ごせる場所を提供しながら、地域の方々に「市民先生」(自分の得意分野や職業にまつわる知識・技術を子どもたちに教えてくれる“放課後の先生”)になってもらい、遊びや音楽、料理、スポーツなど、500以上の多彩なプログラムで、子どもの「好き」なことや「得意」なことを伸ばしてもらう。そうした活動をしています。

私はこのNPOの代表理事として、15年間で累計5万人以上の子どもたちと向き合ってきました。

そんな私が、深い衝撃を受けた出来事があります。

それは、アフタースクールの活動を始めて、まだ間もない頃のこと。ある新しいプログラムを「さぁ、みんなでやろう」と呼びかけたとき、ある男の子がこんな一言を口にしたのです。

「やったことがないから、やりたくない」

子どもは、好奇心旺盛で何にでもすぐ飛びつくもの。そう思い込んでいた私は、 彼の言葉に驚きました。しかし、多くの親御さんと接するうちに「子どもがチャレンジをしない」という悩みをお持ちの親御さんが少なくない、ということがわかってきました。

親はもちろん、子どもと接する仕事をしている私たち大人は、「子どものうちに、いろんな新しいことにチャレンジしてほしい」と、無意識のうちに願っています。 でも、当の子どもたちは「やりたくない」と思っている。その後もたびたび、親と子どもの間にある大きなギャップに気づかされることになりました。


「自分のやりたいことがわからない」「考えたことがない」

こんなこともありました。

以前、全国の小学生約1000人に「放課後や夏休みにやってみたいことはなんですか?」というアンケート調査をしたところ、上位5位は、次のようなランキングとなりました。いかがでしょうか?

1 サッカー 
2 ドッジボール 
3 鬼ごっこ
4 なわとび
5 なし

どこかに違和感を覚えませんか?

そうなんです。

「なし」という答えが5位に入っていたのです。

その回答欄には「やりたいことがない」「わからない」「どうでもいい」などと書いてありました。親や大人は「子どもだからこそ、新しいことにチャレンジしてほしい」と願っている。

しかし、当の子どもは、チャレンジしようとしない。
そもそも、自分のやりたいことがわからない、考えたことがない。

今の子どもたちにそうした傾向があるとすると、それはなぜなのか?

私は、多くの子どもと保護者たちを見てきた経験から、こうした傾向の根っこには子どもたちの「自己肯定感の低さ」がある、という仮説にたどり着きました。

自己肯定感とはわかりやすく言えば、「自分はここにいていい」という感覚です。

「自分はここにいていい」という感覚を持っている子は、ほうっておいても新しいことに取り組もうとします。また、失敗してもくじけずに、繰り返しチャレンジしようとします。一方、「自分はここにいていい」という感覚を十分に持てない子は、新しいことにチャレンジしようとしません。やる前から「失敗するのではないか」という不安が先立って、やろうとしないのです。


「自分はここにいていい」という感覚を十分に持てないと、新しいチャレンジに対して「失敗するのではないか」という不安が先立ってしまう(イラスト:有賀一広)

そもそも、子育てや教育の目標とは…?

ここで「20年後」に目を向けてみましょう。

子育てや教育の目標とは何かというと、つきつめれば「自立」です。

どんな親や教師も、目の前の子どもが20年後、自分で考え、行動できるようになることを願っているはずです。それは、20年後その子がビジネスマンになるとしても、スポーツ選手になるとしても、同じです。

やったことのない仕事にチャレンジする。失敗してもくじけずに、何度でも立ち上がる。人が自立し、そんなふうに成長し続けるためには、高い自己肯定感が欠かせません。それは、親元を離れた後の長い長い人生を支える、大きな力となってくれるものだと思います。

過去の国際的な調査(※1)によると、日本の子どもの「自己肯定感」 は世界の中で極めて低い、という残念な結果が出ています。この「自己肯定感の低さ」が、日本人がチャレンジしなくなり、国際社会の中で成長への大きな「壁」になっていると私は考えています。

※1 日本を含めた7カ国の満13~29歳の若者を対象とした意識調査(平成25年度・我が国と諸外国の若者の意識に関する調査)によると「自分に満足している」「自分に長所がある」「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む」の項目において「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた人数が7カ国中最も低かった。

本書は、育児書の中でも数少ない、「自己肯定感」の育成に特化した本です。

私は学問として教育に取り組んだわけではありません。しかし、アフタースクールの活動を通して、5万人以上の子どもを見てきて気づいた実践知をもとに、本書を書かせていただきました。また、理念や考え方だけではなく、「すぐ使える」具体的な方法をなるべく紹介するように心がけました。

どうすれば私たち親や大人たちが、子どもの自己肯定感を支えることができるか、ということを、4つのSTEP(ステップ)に分けてお話ししていきます。

みなさんの日々の子育て、声かけのヒントになれば、この上ない喜びです。


子どもの自己肯定感を下げてしまう親のタイプとは?

次の項目のうち、自分が「当てはまる」と思うものを チェックしてみてください。
4つ以上当てはまる方は「要注意」です。

□ 真面目で完璧主義
□ 仕事や家事をテキパキこなすタイプである
□ 仕事で出世している、受験などで合格してきた
□ 普段「失敗」することがあまりない、「失敗」が怖い
□ 子どもの世話を先回りしてすることが多い
□ 子どもの勉強を誰よりも積極的に教えてあげたいと思う
□ 子どものサッカーの試合などには積極的に行き、大声で叱咤激励する
□ 子どもに「ごほうび」を買ってあげることが多い
□ 兄弟、姉妹同士を比較して見ることが多い
□ 親は子どもにできるかぎり「最善の環境」を整えるべきだと思う
□ 人生は結果や成果がきわめて大切だと思う
□ 「子どもがご先祖に似ている」といった話が好き

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この連載について

子どもの「やってみたい」をぐいぐい引き出す! 「自己肯定感」育成入門

平岩国泰

「やってみたい」「きっとできる」が口グセの子どもはどう育つ? 5万人の子どもと向き合ってきたNPO代表が提唱する新しい子育ての基本。全国の親御さんから大反響の子育て本『「自己肯定感」育成入門』より特別連載でお届けします!

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コメント

Tmizzer_jp 子どもに限った話じゃないな。 https://t.co/p9QmDurBrI 12ヶ月前 replyretweetfavorite

bookyakan 平岩国泰さんの『「自己肯定感」育成入門』のcakes連載。水曜更新。1週間無料で読めます。 |平岩国泰 https://t.co/xpftQ5pUw6… https://t.co/CaQBzb46vH 12ヶ月前 replyretweetfavorite

izawatakahiro 子供を育てる親でありながら、これは普通に組織のマネジメントにも通じる内容だと思いました。子供の世話を先回りしたらいけないよな。チャレンジしなくなる。日々こちらも勉強!https://t.co/YVh9AJ5fFW 12ヶ月前 replyretweetfavorite

Shukuba_Bob 自己肯定感とんでもなく高く育ててもらったことに感謝ですねw https://t.co/4Uastl4x6A 12ヶ月前 replyretweetfavorite