第8章「キリストに倣いて」以降|3「カッコいい」と「カッコ悪い」の狭間で

「ダサい化」は、個人が対象である場合には、一種の暴力ともなるが、政治権力に向けられれば、風刺や批判の武器となるーー。平野啓一郎が、小説を除いて、ここ十年間で最も書きたかった『「カッコいい」とは何か』。7月16日発売の新書を全編連載。 「カッコいい」を考えることは、「いかに生きるべきか」を考えることだ。(平日毎日更新)


3「カッコいい」と「カッコ悪い」の狭間で


英雄崇拝

 個人の模範が求められた時代には、当然、神話や歴史上の「英雄」が注目されることとなった。

 ヨーロッパで、そのために絶大な影響力を持ったのが、プルタルコスの『対比列伝』である。

 古代のギリシア人とローマ人の互いに似たところのある英雄たちをそれぞれ選んで、対比しつつ論じていくこのユニークなスタイルの本は、一六世紀にフランス語に訳されると、一七世紀以降、広く一般にも読まれることとなった。ジャン=ジャック・ルソーは、少年時代に自分がいかに強くこの本に影響されたかを告白し、「死の前日に読む最後の本はこの本であってほしいと願った」(3)とされる。(4)

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カッコいい」とは何か

平野啓一郎

『マチネの終わりに』『ある男』を発表してきた平野啓一郎が、小説を除いて、ここ十年間で最も書きたかった『「カッコいい」とは何か』。7月16日発売の新書を全編連載。 「カッコいい」を考えることは「いかに生きるべきか」を考えることだ。(平日...もっと読む

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