予想外の妊娠発覚
結婚して2年が経つ頃、少し仕事が落ち着いたタイミングで、本格的に子づくりをしようと、私たち夫婦は不妊治療(体外受精)専門の病院を訪れた。不妊治療は長くは続けず、ふたりの家族のかたちや特別養子縁組を視野に入れることも夫婦で合意したうえで。
1ヶ月前に予約をして訪れたその病院は都心の高層ビルのなかにあり、日曜の朝から不妊に悩む夫婦や女性たちで溢れかえっていた。名前で呼ばれることはなく、割り振られた番号がモニターに表示され、尿検査、採血、先生との面談、と順番に検査が進む。どこか張り詰めた空気のなか、待ち時間も長くこれから受ける治療を想像して少し憂鬱な気分にもなった。
来院して3時間が過ぎる頃、ようやく夫は精液検査室に呼ばれ、私は内診室へ向かった。
内診台で股を開く私に、子宮の中を確認した先生が衝撃的な一言を発した。
「赤ちゃんがいますねえ」
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