GAFA全解剖#1】GAFA 巨人たちの実像

グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン。今や世界を代表する米国のIT巨人たちがまとめて「GAFA(ガーファ)」と呼ばれ始めたのは最近のことだ。GAFAの動向になぜ、多くの人々の注目が集まるようになったのか。それは株式市場や個人の生活、さらには政治にまで、彼らの存在が幅広く影響を及ぼしているからにほかならない。

あらゆる産業や社会生活に影響
GAFA 巨人たちの実像

 グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン。

 今や世界を代表する米国のIT巨人たちがまとめて「GAFA(ガーファ)」と呼ばれ始めたのは最近のことだ。

 GAFAの動向になぜ、多くの人々の注目が集まるようになったのか。それは株式市場や個人の生活、さらには政治にまで、彼らの存在が幅広く影響を及ぼしているからにほかならない。4社の時価総額は合計で300兆円超。日本の株式市場全体における時価総額644兆円(2018年11月末時点)の半分に相当する。

それぞれの市場で圧倒的シェアを形成

 強さの要因は検索、スマートフォン、SNS、EC(電子商取引)といった各社が手掛けるサービスや製品の圧倒的な市場シェアにある。しかも既存の事業領域だけではなく、プラットフォーマーとして自動車や住宅など実空間までを含む新しい分野に次々と進出している。彼らのあくなき成長路線の追求は、株式市場では大きな期待を生み、競合する企業に恐怖を与えている。

 検索の巨人、グーグルは「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスして使えるようにする」ことを目指す。1998年に誕生した同社は検索エンジンで世界シェアの9割超を握り、そこから巨大な広告収入を生み出す。2015年からは、インド出身のスンダー・ピチャイ氏(46)がCEOを務める。

 2005年にはスマートフォン向け無償OS(基本ソフト)を開発した「アンドロイド」、06年には動画共有サイト「ユーチューブ」を買収し、広告を掲載できる領域を広げた。親会社のアルファベットにとってグーグルによる広告は収入の9割近くを占め、17年度の広告収入は約10・7兆円となった(1ドル=112円換算、以下同)。

 利用者は指数関数的に増え続けており、今や世界で月間利用者が10億人を超えるグーグルのサービスは検索のみならずユーチューブやGメール、グーグルマップなどを含め、計8つ存在する。

 スマートフォンの巨人、アップルは2007年の iPhone 発売を契機に爆発的な成長を遂げた。2001年に発売したデジタル音楽プレーヤー iPod を足掛かりとして、従来のコンピュータや電話の概念を根底から覆した。

 11年に共同創業者兼CEOのスティーブ・ジョブズ氏(享年56)が死去した後も、その力は衰えていない。後任のティム・クックCEO(58)は iPhone のラインナップを広げ、15年度以降 iPhone の販売台数は年間2億台を超える。世界のスマホ市場における利益シェアはアップルが約8割を占めている。

 直近で iPhone の販売台数は曲がり角に差しかかっているが、アプリストアや音楽配信など端末販売後におけるサービス部門の売り上げ拡充を図っている。

 人と人をネット上でつなげるSNSで世界に君臨するのはフェイスブック(FB)だ。月間利用者は22億人を超え、傘下には写真・動画共有アプリ「インスタグラム」などを有す。FBとインスタで市場の7割超を占める、まさにSNS界の巨人だ。

 FBもグーグルと同じく、広告を収入源としている。FBは実名登録を原則とするサービスのため、集まるデータの質がとりわけ高いとされる。実際に17年度の営業利益率は50%と、GAFAの中で最も高い収益性を誇る。

 設立は2004年とGAFAの中では歴史が浅いが、FBとグーグルを足したデジタル広告市場のシェアは6割弱に及ぶ( eMarketer 調べ)。広告市場ではグーグルと肩を並べるプレーヤーだ。創業者兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏(34)は、GAFAのトップの中で最も若い。

 最後はECの巨人、アマゾン。ジェフ・ベゾス創業者兼CEO(54)による指揮の下、直販の小売り事業を核に物流網を整え、楽天のようなモール型ECでも存在感を示す。モール型ECでは、出品者が世界に約200カ所とされるアマゾンの物流センターに在庫の保管や配送を委託することができる。モール型ビジネス経由の販売個数はアマゾンのEC全体において半分を占める。

 利用者を引き付けるのは独自の会員プログラム「アマゾンプライム」だ。年会費数千~1万円超で配送にかかる時間の短縮や動画・音楽の視聴といった特典が無制限に利用できる。プライム会員は世界で1億人を超える。プライムの利用が牽引し、米国のEC市場におけるシェアは5割近くを占める。

GAFAといかに戦うか、戦わないか

 巨大化が進むGAFAについて、海を隔てた日本企業も意識せざるをえなくなっている。

 「たぶん、服の検索はアマゾンが世界一だと思う。一番の競合先」。ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、17年10月の決算説明会でそう述べた。アマゾンは目下アパレル分野を強化しており、ファストリが展開を急ぐ海外市場では特に衝突が避けられない。それまで柳井氏はグーグルやアマゾンについて「協力者であり競合にもなる」と話してきたが、ライバルとして意識するようになってきた。

 「グーグルが本気で空調機に乗り出してきたら怖い」。18年3月の本誌取材にそう答えたのは、ダイキン工業の井上礼之会長だ。グーグルは14年にAI(人工知能)を駆使した住宅設備機器を開発する「ネスト」を買収するなど、ホーム領域に注力している。グーグルが空調など室内環境に関するデータを押さえ新サービスを始めるとダイキンの優位性が崩れかねない、という危機感があるようだ。

 人材争奪においても、GAFAは日本企業にとって脅威になっている。NTTの澤田純社長は、「(研究開発の人材は)35歳になるまでに3割がGAFAなどに引き抜かれてしまう」と嘆く。

 脅威におののくばかりではない。「GAFAなどは脅威だが、正面から戦おうとしないほうがいい。どうやって土俵をずらせるか(が大事だ)」。ソニーの吉田憲一郎社長は5月、そう語った。吉田氏が答えのひとつとして示したのが、音楽などの出版権を持つこと。コンテンツにおいて主導権を握ることが、生き残りのカギになると見ている。

 GAFA自身の問題として、力が強くなりすぎた結果、各国の規制当局などとの軋轢も生まれている。日本でも省庁の連携した対策が動き始めた。GAFA抜きで、もはやビジネスの世界は語れない。まずは、4社の実像を知ることが必要だ。
(本誌・二階堂遼馬)

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