東国原英夫が威張っている

今回のワダアキ考で取り上げるのは、元お笑い芸人・そのまんま東で、元宮崎県知事でもある東国原英夫。最近はワイドショーのコメンテーターとして見かけることが多いですが、その発言が物議を醸すこともしばしば。そんな東国原を含む、ワイドショーコメンテーターの構造について武田砂鉄さんが考察します。

「家庭内だと圧倒的に女性の方に権力がある」

ワイドショーに頻出している東国原英夫を見ていると、「自分はかつて相当偉かった」と「自分は今でも面白い」という両輪で動いている自意識がビシバシ伝わってくるが、その様子を眺めながら、「いや、でも今はもう偉くないじゃん」と「いや、別に面白くないよ」という両輪を用意して立ち向かいたくなる。ところが結局、その手の視聴者の物言いが、何を言われても乗り越える自分の補強に使われてしまう。思ったことを強く言いっぱなしにする状態をなんだかんだで重宝するのがテレビなのだと長年のキャリアで熟知し、その両輪でかっ飛ばし続けている。

東大入学式での上野千鶴子によるスピーチが話題になった直後、日本社会のジェンダーギャップについて、東国原は「家庭内だと圧倒的に女性の方に権力がある。でも数値化できないんですよ。そこも数字に入れたら、日本って女性の方が上になると思いますよ。そういう数字を入れてないところ、先生に忖度していただきたかったなと思いますね」(『バイキング』・2019年4月15日)と述べた。発言の全てが的外れなのってなかなか珍しい状態だが、番組が用意している「的」からは外れていなかったようで、スタジオは、彼の発言を受け止めながらわいわい盛り上がっていた。

「満を持して」を自家調達

これまで、組織の中で偉い立場になったことがないのでわからないのだが、人はその偉い立場ではなくなった時、どうやってその「偉い」を薄めていくのだろう。薄めないままいつまでも必死に保存している人の鬱陶しさを感じることはしょっちゅうなのだが、薄めた人は、その行為が自然だからこそ可視化されない。私たちが見るのは、いつまでも薄めない「偉かった」ばかりになりがちだ。

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往復書簡 無目的な思索の応答

又吉直樹,武田砂鉄
朝日出版社
2019-03-20

この連載について

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

2525slow ホンマにコイツは不快でしかない… 13日前 replyretweetfavorite

dyaco_huguruma |武田砂鉄 @takedasatetsu |ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜 (記事本文より) 他人から揺さぶられないようにしている自分の自信って、自信としてはだいぶ脆弱なつくりをしている。 https://t.co/X4YMMglOvA 13日前 replyretweetfavorite

chogetsu_suzuki 武田砂鉄さんの「東国原」評。まさに彼なんか、スカスカの自己愛を守るために他人を攻撃してる典型だよな。 https://t.co/F4zkostFaO https://t.co/JvOeeUgAZU 14日前 replyretweetfavorite