FOK46—フォークオーケン46歳
【第22回】ギブソンJ-200M

ギターを弾き語るようになったオーケンのもとに、「会いたい」と電話をかけてきたのは、四半世紀も昔に恋人だった人。若かりし日の2人のエピソードを勝手に小説に使用してきたオーケンに対し、彼女が要求してきたこととは? 大槻ケンヂ40代の私小説、いよいよクライマックス。

「死んでいく話が多いね」
 と、屋上庭園の片隅のベンチに座って、彼女はのんびりと僕に言った。午後のあたたかい陽射しの中で微笑んだ。昔よく見た懐かしい笑顔の目尻に、今は数本のしわがあった。
「お、笑いじわ。老けたね君も」
「オーケンのほうれい線のほうが相当なものだよ。ガッツリおっさんだね」
「まあな、で、また意地悪で聞くけど、君、40歳を超えたんだっけ? とっくに?」
「10歳下の妹に赤ちゃんができたんだよ。私も相当な大人よ。自分でも信じられないけど」

「うん、オレも、自分がもう46歳だなんて全然信じられない」
「でも46歳…FOK46だもんね」
「そう、FOK46。どうだった? FOK46の腕前は?」
 ギブソンJ—200Mをかかえて決めてみせると、彼女はもう一度懐かしい笑みを浮かべて「死んでいく話が多い」と、さっきと同じことを言った。
「いや歌の内容じゃなくてさ」
「オーケンがギターを弾いてること? ビックリ! 私は楽器の腕前はわからないけど…たぶんとってもヘタなんだと思うけど(笑)オーケンがギターの弾き語りを始めるだなんて、時は流れたんだなと思った」
「流れたよ時は。だって君に靴をあげたのアレ何年前だ? もう10年以上前だよね」
「何の靴をくれたか覚えてる?」

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小説 FOK46—フォークオーケン46歳

大槻ケンヂ

30年以上音楽活動を続けてきた、ロックミュージシャンの大槻ケンヂ。楽器演奏と歌を歌うのを同時にできないという理由で、ボーカルに徹してきた彼が、2012年、ギターの弾き語りでのソロツアーを始めた。その名も『FOK46(フォークオーケン4...もっと読む

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