ワープアコースから逃れるために、またマンガを描こうと思った
—— 高校生からヤリマンデビューをして、中学まで描いていたマンガをやめてしまった峰さんが、「アラサーちゃん」というマンガを描こうと思ったのはどういうきっかけだったのですか?
峰なゆか(以下、峰) 2010年頃、AV女優を卒業してからフリーでライターをしていたのですが、ライターの仕事で食っていくのに限界を感じてたんですよね。文章を書くのが遅いから量産もできないし、これは完全にワープアコースだなと。で、文章プラスちょっとイラストがついたコラムが書けたほうが、編集さんからしても使い勝手がいいかなと思ったんです。
—— おお、「マンガ描きたい!」とかではなく、仕事の一つとしてとても現実的に考えていらっしゃったんですね。
峰 そうですよ。マンガのほうが連載も単行本化しやすいよな、とかいろいろカネのことを考えてました。それで、25歳で私もアラサーの仲間入りだし、と思って『アラサーちゃん』というマンガをブログで描き始めたんです。
—— こういう男女の心の機微にまつわる四コマにしようと思ったのは?
峰 その頃は、ライターとしてはエロ系の記事の依頼ばかりでした。エロについて書くのは好きなんですけど、でも心のなかでは、「私、恋愛のことも書けるし! モテテクとかも知ってるし!」って思っていたんです。だから、芸の幅をアピールするという営業活動としての意味合いもありました。
—— またマンガを描くとなって、まずは道具を揃えて、ということから始めたんですか?
峰 いや、コピー用紙にとりあえず家にあったペンで描きました。もともと、いつかマンガを描こうと思って、Gペンとか原稿用紙とかスクリーントーンとか、ずっととってあったんです。「中学生の頃マンガ家を目指してた人あるある」なんですけど、蝶とか羽根とか、すごい変な柄のスクリーントーンばっかり持ってたんですよね(笑)。
—— 普通のマンガではほぼ使わないような(笑)。
峰 で、掃除をしてた時にそれを見つけて痛々しい気持ちになって、「さすがに、もう描かねえな」と捨てたんです。そうしたら、なんか気が楽になって、そのあとすぐアラサーちゃんを描くことができました。それまでとらわれていた「マンガというのは、まずプロットをつくって、ネームを描いて……」みたいなしばりがとけて、コピー用紙にボールペンで描いてもいいんだ、というふうに思えたんですよ。
—— 中学生までは、いわゆる少女漫画っぽい絵を描かれてたんですよね? そこからアラサーちゃんの絵柄になったのは、どういう変化が?