食卓で仕事をして、原稿に油染みがついていたあの頃
—— おじゃまします……おお、素敵なお部屋!
峰なゆか(以下、峰) ありがとうございます。この部屋は、まず写真を見て「お風呂丸出しじゃん、ウケる」と思って内見を申し込んだんですよ。
—— たしかに、お風呂がガラス張りですね。
峰 写真を見た時は、全面ガラスで覆われているんだろうと思ってたんですよね。でも実際見たら、横が開いてるから湿気も水もダダ漏れだし、浴槽の下は普通の木材で濡れっぱなしにしてたら腐りそう。「これはヤバい、ウケる」と思って、気がついたら借りてましたね。
—— それは(笑)。しかし、不便かもしれませんが、めちゃくちゃおしゃれですね。
峰 ダサいのは罪だと思ってますから。わけのわからないアイボリーみたいな壁紙とか、安っぽいプラスチックの洗面台とか、ほんっとにダメなんです。
—— ああ……賃貸で家を探すとよくありますよね。
峰 もともとインテリアのセンスがある人なら、ショボい賃貸でもおしゃれに家具を配置しておしゃれ部屋にできるんでしょうけど、私の場合インテリアのセンスがないのでまず箱がダサいとダサい部屋にしかならないことに気付いたんですよ。そこでそれこそ風呂が丸出しとか、そういうガツンとおしゃれ要素のある部屋に無難な家具を置いてなんとなくおしゃれ感を演出するという方法に辿り着きました。すごくおしゃれじゃなくてもいいので、せめてダサくない空間にいたいと思っています。とにかく、ダサいのだけはやめてくれ!
—— ここは仕事部屋も兼ねているんですか?
峰 はい。『アラサーちゃん』を描き始めた頃は、仕事机すらなくて、ダイニングテーブルで描いてたんですよ。だから、ごはんのたびに道具を片付けなきゃいけないし、またマンガ描こうと思って原稿を広げるとテーブルに残ってた油染みがぱーっとついたりして、ちょっとつらかった(笑)。仕事部屋じゃなくていいから、せめて仕事机が欲しいと思っていました。今はちゃんと、仕事机で描いてます。
—— こちらですね。ちょっと変わった机ですね。
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