お金の不安がなくなったら幸せなのか?
お金があれば幸せになれるわけではありませんが、少なくとも不幸の多くは避けられます。
そもそも人が幸せで居続けることって、根本的に無理なんです。人間は構造上、楽しいとか面白いと思うものには必ず飽きるようにできています。
初めてやった、すごく楽しい、でも2回目はそんなに面白くない──感動はどんどん目減りしていきます。
なので、「楽しい」の最大化を目指すより、不安や不幸をどれだけ減らすか、という方向で考えたほうが、たぶん人間としては比較的幸せでいられるんじゃないかと思います。
不安やストレスが大量にあったほうが幸せ、という人もたまにいますので、一概には言えませんが。
お金を使わない力を上げよう
そういうわけで、お金を使わないで楽しく暮らせる能力は、すごく重要です。
めちゃくちゃお金を儲けてガンガン使うぜ、って人もいますし、それはその人の生き方だからいいと思いますよ。でも僕は今誰に向けて言っているかというと、お金持ちレベルでいうと──1から10まであるとしたら──6、7、8、9、10くらいの人に向けて言っています。トップ1、2、3くらいの人は好きにすればいいと思います。
毎月ちょこちょこ課金されるものをいっぱい契約している、って人も結構いると思います。「たった月500円だから」って言うんですが、それ何年続けるの?
って話です。たとえばニコニコ動画に毎月500円払うとすると、年間6000円。10年で6万円です。
家計簿アプリは使うな
家計簿アプリって使ったことありますか?
お金を貯めたいから家計簿をつける、というのが一般的な理由かと思うんですが、これって要は、ダイエットするときに、何を食べたかを記録することと一緒ですよね。そうではなくて「食わなきゃ痩せる」じゃないですか。「何食べたか記録しています」。そうじゃなくて、本当に痩せたいなら食べる量を減らせばいいだけです。
お金を貯めたいのなら、お金を使わなきゃいい。それだけなんです。どれくらい無駄遣いしていいか知りたいって考えている時点で、お金は貯まらないと思いますよ。
休日を過ごすのにお金が必要という人は、それがストレス解消なんだと思います。自分を気持ち良くしてくれる物やサービスにお金を使いたいわけです。
ストレス解消に、お金を使わない
でもそれって、日頃ストレスがあるから、休みの日にストレスを解消しなきゃいけなくなるわけですよね。もともとストレスのない毎日であれば、ストレスを解消する必要もなくなるはずです。お金も払わなくて済みます。
じゃあ、どうしたらストレスがなくなるかというと、結局そのストレスって、仕事ですよね。仕事がストレスじゃなければ、休日に気晴らしをする必要もなくなるんですよ。
むしろ休日に、もっと生産的な何か、副業みたいなことをしたくなるかもしれない。そうなったら、休みの日にお金を使うんじゃなくて、逆にお金を稼げるわけですよ。
休日の過ごし方は変わる
これまで日本人は、仕事がオンで休日がオフで、仕事はつらいもので、そのストレスを解消するために、休日はお金を使ってストレスを解消する、みたいな人が多かったと思います。仕事で稼いだお金を、休日に消費していたわけですが、そのバランスがだんだん変わってくるはずです。
その意味でも、ベーシックインカムが実現して、本当にストレスを感じている仕事を辞めることができるのが、その第一歩だと思っているんですよね。
人はなぜ働くのか?
そもそも日本って「休むことが良くない」みたいな思い込みが根強いですよね。
「家でゴロゴロするのは、悪いことである」みたいな。
でも、たとえば僕が今住んでいるフランスなんて、そういうのはまったくないです。
夏は皆さんバカンスに行くので、だいたい7月8月の2カ月は、お店や役所は、ほとんど機能していません。皆さん3週間くらい休みを取るので、担当者が9月まで帰ってきません、みたいなことはザラなんです。皆さんそれがわかっているから、この期間はまともに仕事をしない。
フランス人って、夏のバカンスのために生きている人が多いんですよ。「バカンスがないんだったら仕事もしない」という感じです。
日本人は、仕事と自分の価値みたいなものをリンクさせる人が多いんですけど、フランスの人たちは、休むのが当たり前。「休んでダラダラするのが僕らの人生なので、それを維持するためにお金が必要だから、仕方なく働いています」って感じです。なので、働くことは基本的に良いことだ、と捉えてない人が多いんですよね。
キリスト教の価値観で、労働というのは基本的には罪を償うためにやる行動で、「労働が尊い」みたいになっている日本的な価値観とは真逆なんです。
※次回のお題は「騙されるな!バカなお金の使い方」9月29日(日)掲載予定です。