坂本はおるか!」 | 気宇壮大(二) 2

豪腕作家として知られる伊東潤が描く、大隈重信の成長譚!
早稲田大学の創始者で、内閣総理大臣を2度務めた大隈重信という男は
どのような人物だったのか?
幕末の佐賀藩に生まれ、
明治期に藩閥政治から立憲・政党政治への道筋を切り拓いた男の思想と生涯とは。
青年期から最晩年まで、
「走る人」「闘う人」「創る人」「聞く人」として駆け抜けた、
令和版大隈像をお楽しみください。

「なんだ、高木さんか」

 立っていたのは「佐賀藩一の怪力」と呼ばれた高木長左衛門だった。さすがの大隈も、二歳年上で体格も同等の高木を倒すのは苦労すると思った。

 ところが高木は予想もしないことを言った。

「うるさいから怒鳴り込みに来たのだが、坂本文悦と聞いて立ち聞きさせてもらった」

「高木さんも、たちが悪いな」

「奴からいじめられた若いのが多くいる。いつかとっちめてやろうと思っていたが、ちょうどよい。助太刀いたそう」

 大隈は一瞬同意しかけたが、考え直した。

「高木さんを護衛役に殴り込みを掛けたとあっては、男がすたる」

「では、一人で行くのか。それでは袋叩きに遭って負けるだけだぞ」

 —高木さんの言うことにも一理ある。

 顎に手を当てて少し考えた末、大隈は一計を案じた。

 大隈の計画を聞いた高木は、「分かった」と言うや、「戦支度だ!」と喚き、寝ている者たちを起こし始めた。

 大隈が北寮に乗り込むと、案の定、大半は寝静まっていた。すでに丑三つ時(午前三時頃)を回っているはずなので、さすがに勉強熱心な者たちも、翌日の課業を考えて眠っているのだ。

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威風堂々 幕末佐賀風雲録

伊東潤

豪腕作家として知られる伊東潤が描く、大隈重信の成長譚! 早稲田大学の創始者で、内閣総理大臣を2度務めた大隈重信という男は どのような人物だったのか? 幕末の佐賀藩に生まれ、 明治期に藩閥政治から立憲・政党政治への道筋を切...もっと読む

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コメント

maito0405 いやー、久米の言う通り普通なら重罪ですわ。もっと賢いやり方あるだろうに(笑) 3ヶ月前 replyretweetfavorite

kirierra 6話、更新されました。 火鉢の登場です(違う)。 <次回は9月24日(火)更新です> とのことです。 3ヶ月前 replyretweetfavorite