求められているのは「面白い投稿」ではない
この見出しを見て、「なぜ?」と思われるかもしれません。
セミナーや講演で出会う企業の担当者から、いろいろ質問を受けますが、これがSNS運用の最重要テーマだと思っている人がどれだけ多いことか。確かに、自分が管理するアカウントを「発信力のある強いSNSアカウント」にするには、毎日の投稿内容が大事です。しかしみなさん、そこでつまずいてしまうようです。
1つ目は、面白いネタがない、どんなことを投稿すればよいかわからない……。こうして投稿が止まってしまうパターン。
2つ目は、面白いと思って投稿したが、意外にもまったく反応を得られない、拡散されない、という悩みです。
改めて森美術館の投稿をご覧いただきたいのですが、「面白いこと」を言っているか、と聞かれれば、そこまで面白いことは言っていません。主な投稿内容は、展覧会と作品の紹介、イベントの情報、施設の情報など。ほとんどが基本的なことばかりです。
面白い投稿ネタなんて、簡単に転がっているものではありません。そのうえ「これは面白いだろう」と、ここぞとばかりに狙ったネタは、たいていユーザーに見抜かれて、反応もなく静かにスベります。あとから見直したときに、「異質な投稿」としてタイムラインに残るリスクが高い。もちろん、「中の人」に強力な笑いのセンスがある場合や、鉄の心臓があれば別ですが……。
それよりも私が心がけているのは、「基本情報をきちんと伝えていくこと」です。「こんなこと、投稿しても仕方ないかな」と躊躇するような些細なことでも、きちんとSNS上に置いておく。
具体例を挙げると、毎週金曜日の夜に「週末のおでかけは森美術館へ」という投稿をしています。投稿の内容は、展覧会の基本情報やトレイラーです。文字通り、週末の「おでかけ」先を検討いただく際の、選考材料にしてもらうためのお知らせ投稿です。
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