第3回】努力で天才になれるのか?

岩崎夏海さんとの「天才」対談第3回。それぞれの「天才」観が明らかになった前回。短歌の指導をするうちに、天才は生まれつきのものでそのセンスを人に教えることはできないと痛感したという枡野さんに対する、岩崎さんのアドバイスとは。2人の会話のなかで浮かび上がったのは、「物事を素直に受け止める」ことの大切さでした。(構成:丸山桜奈)

センスの良さは生まれつき?

丸山桜奈(以下、丸山) 天才は「自己否定感」を強く持っているというお話でしたけど、つまり、天才というのは、後天的にできあがるものなんですかね。

枡野浩一(以下、枡野) うーん、僕は最近、自分のしてきたことすべては生まれつきの遺伝子のせいじゃないかと思ってるんですよ。もしくは、環境に置かれた運。努力といっても、僕の場合は好きなことをしてきただけなので、努力のうちには入らない。そういう意味で、人って「生まれつき」なんじゃないかと思うようになったんですね。なので、「天才」なのも「生まれつき」だと思っています。

岩崎夏海(以下、岩崎) そういうふうに考えるようになったきっかけはあります?

枡野 人に短歌を教えていても、センスのいい人は最初から上手だし、その一方で、いくら教えてもある程度にしかならない人が絶対にいるなあと思って。
 たとえば、僕も運動は全然できません。できないことがたくさんあるなかで、短歌はたまたま苦労せずに自分の望む形にしていったり、「こうしなきゃいけない」って確信があってやっているんですけど、それは「教えられてできるようになることではないんじゃないか」と思うようになったんです。それはしかたがないことだなと。

岩崎 なるほど。

枡野 岩崎さんは『小説の読み方の教科書』(潮出版社)で、「素直に受け止める」ということの重要性を書かれていましたが、たぶん、多くの人は教えられたことを素直に受け止められないんです。「物事を素直に見る」ことって、訓練でもできなくて、資質みたいなものじゃないかと思うんです。

岩崎 僕はそれは、「まだら」だと思ってるんですよ。つまり、できるようになる人もいるし、一生できない人もいる。これはほぼ100%誤解される言葉ですが、殴ったら、できるようになったりすることもあるんですよ。

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天才であるということ—岩崎夏海×枡野浩一対談

岩崎夏海 /枡野浩一

小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』で270万部を売り上げ、社会現象を巻き起こした岩崎夏海さんと、歌人・芸人・小説家としてマルチな才能を惜しみなく発揮し続ける枡野浩一さん。「ぼくのことをすごい...もっと読む

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sakucherryna 「自分の好き嫌いにこだわらない」「人生がうまくいかないのは自分の選択である」…グサグサ胸に刺さる対談でした。 約5年前 replyretweetfavorite

sakucherryna 取材構成した対談の第3回目がUPされました! 約5年前 replyretweetfavorite