にんげんこわい【パリッコ】

カニカマおいしいですよね。でもよく考えると、とても不思議な食べ物。カニを模している、でもカマボコだから原料は魚。なぜ人はこんな食べ物を生み出したのか? 今日はパリッコさんによるそんな不思議な食べ物のは話からスタート。
なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、ぬるーく書いていくリレーエッセイです。過去の連載へはこちらから。

本物そっくりのカニカマがこわい

カニの身にそっくりなカニカマがありますね。オーソドックスな円柱形のやつじゃなくて、もう、本物のカニをゆでてむいた身にそっくりなやつ。気軽にカニ気分を味わえて、大変ありがたい食材です。なのですが、先日あれを食べている時に、突然気づいてしまったんですよ。「私は人間が恐ろしい」と。

地球という星に生を受けた以上、海でカニをとってきて食べる。魚をとってきて食べる。これはまぁ、しかるべき、自然な行為のように思えます。が、海で魚をとってきて、あーだこーだすったもんだして、変幻自在な素材に作り変える。それを別の生き物であるところのカニそっくりに成形してしまう。見た目だけじゃない。噛みしめるとほろりと崩れる食感まで再現する。人間は、別の素材からカニを創りだしてしまった。僕の友達の中でもひときわ味に無頓着な男が以前、持ち寄りの宴会でカニカマを食べながら、「このカニ、おいしいな〜」とつぶやいていた時の純粋な笑顔も頭にこびりついて離れず、いつかこの技術は暴走し、ついには人間に襲いかかってくるのではないか……。そんなふうに感じてしまったんです。
スーパーの練り物コーナーで、さらに驚いたことがあります。「黄色いカニカマ」なるものが売られていた。我が目を疑いました。自分自身が無学なこともありますが、僕は、ゆでて殻をむいたらその身が真っ黄色に染まっているカニを知らない。人間の「サラダに入れるときに彩りがいいから」というエゴによって、神さえも創造しなかったカニを生みだしてしまったということなのか。もはや、キメラ・クラブ。夢に出てくる。

イカは特に不遇

そんな、人によっては「熱でもあるの?」と心配されそうな話をナオさんにしてみたところ、こんな返事が返ってきました。「わかります! 私もこの間、アスパラに豚の薄切り肉を巻いているとき、ふと、『いいの、こんなことして!?』って思いました」。さすがとしか言いようがありません。普通に生活していれば出会うことのなかった豚とアスパラガスを、勝手に組み合わせてしまう。しかもなんだか小粋に。確かに美味しいけれども、ちょっとルール違反なんじゃないか? そんな気持ちを一度でも抱いてしまえば、ぬぐいきるのは並大抵のことではありません。

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スズキナオ /パリッコ

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