若い人の間ではSNSの情報が森美術館の展覧会に出向く重要な動機に

現代アートの展覧会を開催している森美術館では、かねてSNSの運用に注力しています。その結果、若年層の来館者が増加し10代から30代で全体の70パーセントを占めるまでに。どうやらSNSで情報を得る若い人たちに刺さっているようです。しかし一方で、まだSNSに馴染みが薄いシニア層の来館者は他館に比べて少なめ。SNS担当の洞田貫晋一朗さんは来館者の年齢層を分析し、次なるターゲットを想定しています。著書『シェアする美術』から紹介します。

美術館の集客も「紙」から「デジタル」へ

2018年の「入場者数ランキング」1位に輝いた、森美術館の「レアンドロ・エルリッヒ展」。その集客に大きく貢献したのがツイッター、インスタグラム、フェイスブックをはじめとしたSNSであることは、連載の第1回でお伝えした通りです。

一般的に展覧会の告知方法は、テレビ・ラジオを除けば、紙媒体による告知が主流です。たとえばチラシの配布、ポスターの掲示、招待券を配る。広告予算があれば、新聞・雑誌広告や、交通広告(駅や電車内に掲出する広告)を出す展覧会もあります。

駅のポスターや電車の中吊りで、展覧会の告知を見たことがある人も多いでしょう。駅広告の場合、掲示期間、掲示する駅の乗降客数、乗り入れている路線、沿線のミュージアムの種類などを考慮し、戦略的に展開します。費用が高額になるため、費用対効果を考えて慎重に広告を打つことが求められます。

森美術館の場合、こうした交通広告を出すことはほとんどありません。確かに広告を見た人が興味を持ち、スマートフォンで検索をする、ハッシュタグで調べる、といった効果は期待できそうです。しかし交通広告の情報は、街で偶然出会った「ネット検索の素材のひとつ」になってしまったのではないでしょうか。

みなさんも通勤・通学の際、駅や車内で多くの広告を目にしていると思いますが、その広告に興味がない、広告主から見てもターゲットではない場合は、「検索する」というアクションすら結びつきにくいのです。スマートフォンの画面を見ていて、広告に気がつかないこともあるかもしれません。

せっかく広告を出しても、広告の印象が残らず、覚えてすらもらえない可能性を考えると、積極的にはやりにくいのが正直なところです。

スマートフォンとSNSで告知方法が変わった

こうした広告の流れが変化し始めたのは、スマートフォンの普及がきっかけだと思っています。

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シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略

洞田貫晋一朗

森美術館のSNS運用を手掛ける洞田貫晋一朗さんの著書『シェアする美術』から、全12回にわたって連載形式で本の中身を紹介します。国内の美術館では随一のフォロワー数を誇る森美術館ですが、そこに至るまでにどんな工夫がなされてきたのでしょうか...もっと読む

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