​Every Little Thing伊藤一朗の強度に学ぶ

今回取り上げるのは、最近YouTuberデビューをしたことも話題になっている、Every Little Thingのギター・伊藤一朗。その地味なキャラクターが90年代から歌番組などで取り上げられることが多かった彼は、どのように自分を評価していたのでしょうか?

「真ん中じゃない人」を知りたい

地上波の音楽番組が少なくなって何が寂しいかといえば、「人気バンドの真ん中じゃない人」の素性が一向に伝わってこないことである。たとえばRADWIMPSやback numberの「真ん中じゃない人」が、どういう考えを持っている人なのか、どんな日常を過ごしている人なのか、知る機会がない。ファンは当然、「真ん中じゃない人」なんて言い方を許すはずはなく、〇〇さんは肉の焼き加減にうるさい人だとか、△△さんと□□さんは住んでいるマンションが近くて時たまコンビニで会うんだけど会釈しかしないらしい、というような細かい情報を持っている。情報に差が出る、というか、ファンの情報量が100から500になっても、こっちがずっと「0」のままなのだ。

ファンの情報量が100から500になるなかで、こっちの情報量が0から25くらいになっていれば、少なくとも「真ん中じゃない人」についてのディスカッションができる。今は、それすら難しい。「好き」か「嫌い」かではなく、「好き」か「知らない」かになる。本当は、「しょうもない話がクセになるベーシスト」なんてのがあちこちにいるはずなのだが、ベーシストの吐露を聞ける大衆的な音楽番組がない。話すのが苦手そうな人が、それはそれで面白い、SNSだと冴えているなどと、ファンの間のみで人気を膨らませていく。外野に漏れ伝わる人気に、そのベーシストの吐露は含まれていない。

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コメント

t_take_uchi Every Little Thing伊藤一朗の強度に学ぶ|武田砂鉄 @takedasatetsu | 4ヶ月前 replyretweetfavorite

kareigohan42 たしかに Every Little Thing伊藤一朗の存在を繰り返し見たのは『うたばん』だが、MCの石橋貴明は、「真ん中じゃない人」を好物としており、真ん中にはいられない持ち味をそのまま引っ張り出す技術に長けていた。​ https://t.co/NV4xAmt3Bw 4ヶ月前 replyretweetfavorite