カレーは飲み物、唐揚げは粒子【パリッコ、スズキナオ】

本連載もとうとう40回突破!ということで、パリッコさん、スズキナオさんによる恒例の振り返り対談を前後編でお届けします。前編は連載に登場したスズキナオさんによる「粒子系おつまみ」の定義についてパリッコさんからゆるーいツッコミが入るところからスタート。
なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、ぬるーく書いていくリレーエッセイです。過去の連載へはこちらから。

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粒子のつまみと1個のつまみ

パリッコ(以下パリ) 「酒とかくれんぼ」「酒と奇跡」「焼酎のタピオカ割り」「粒子系おつまみ」。今期は降り幅が広い感じでしたね。

スズキナオ(以下ナオ) そうですね。

パリ まずこれだけは言いたかったのは、ナオさんの「粒子系おつまみ」の回。大豆って、別に粒子ではないだろっていう。

ナオ はは。粒子ってなんだ。よくわかってない。とにかくね、私的には、粒の集合であればいいんです。1000粒セットで一品、というような。

パリ うん。ナオさんから沖縄みやげにもらったカレー味の「焼き大豆」、確かにつまみにちょうどよくて、これからは粒子飲みですね。

ナオ そうそう。箸でひとつまみずつ、ちびちびと。

パリ だから1袋で何日も持つんですよね。

ナオ 私はそう思ったのに、1回で食べ切ってしまったんです。

パリ はは。ハマりすぎて。粒子は中毒性もあるから。

ナオ やめられないんですよね。逆に、1個のものってあるじゃないですか。

パリ 一瞬でなくなる。

ナオ そう。例えば、吉祥寺「いせや」のシュウマイ。

パリ 大きめのが3つ出てくるやつ。あれを食いにいせやに行ってます。

ナオ 3人で行ったと仮定させてください。すると、ひとり一粒ですよね、当然。

パリ はい。

ナオ どんな風に食べますか?

パリ あれは僕、2口にわけて食べると決めてます。もう答えが出てしまった。2口なんですよ。

ナオ ですよね。1口目でうまいかどうか確かめる。

パリ あ〜やっぱり超うまいな。で、手元の皿をみたら……。

ナオ もうお別れ。あれ? 俺のとった? と。

パリ 酔ってるしね。

ナオ その点焼き大豆だったら、最初「まあまあうまい」だったのが、100粒食べた頃に「つうか、これ、相当うまいぞ! 止まらん!」ってなるから。どんどん好きになっていくから。

「唐揚げは粒子」という人がいても

パリ そもそも僕、節分の豆が大好きなんですよ。あの香ばしい風味と食感。ただ、塩気がないから、そこだけどうにかしてほしいと思ってた。酒のつまみ力をもう少しだけ磨いてほしいと。そしたらあれですもん。

ナオ 焼き大豆を投げつけられたら、鬼も笑顔でしょ。

パリ 新昔話。

ナオ ニュー古典。

ナオ 「散らばった豆を集めて、鬼たちが酒盛りを始めたぞ!」

パリ 「ばあさん、こうなったらワシらも参加じゃ!」

ナオ それ以来、人間も鬼も仲良く酒を飲んで暮らしましたとさ。最高。

パリ さすが酒!

ナオ 最後、必ず酒でうやむやになる昔話シリーズがあったらいいのにな。絵本コーナーに紛れこませたい。

パリ 桃太郎が鬼退治に行ってね。「酒の飲み比べで勝負だ!」と挑まれ。

ナオ 「桃太郎、帰ってこんのぉ。ばあさま、鬼が島へ行ってみよう。あ、飲んでる!」

パリ 「仲良くなってるー!」

ナオ いいなぁ。海外の童話でもたぶんいける。

パリ 白雪姫とか。魔女がお姫様に「よ〜くお酒を染み込ませたりんごだよ」と、酒りんごを食べさせて。

ナオ はは。ブランデーかなんか。

パリ 一緒に酔っぱらうだけ。

ナオ 平和。

パリ しかし考えてみると、ナンコツの唐揚げが居酒屋でだけ定番なのは、鶏の唐揚げよりあきらかにつまみ向きだからでしょう。ミックスナッツとかも粒子だし。

ナオ そうそう。需要があるんですよね。

パリ これからっていうか、これまでも粒子飲みだったんだ。最初に大豆は粒子じゃないなんて言っちゃいましたが、今調べてみたところ、「粒子とは、比較的小さな物体の総称である。大きさの基準は対象によって異なり、また形状などの詳細はその対象によって様々である」。粒子でした。謝ります。

ナオ はは。人それぞれでいいのか。

パリ 大柄な人にとっては、唐揚げだって粒子だろうし。

ナオ 「カレーは飲み物」っていう人もいるくらいですからね。「唐揚げは粒子」という人がいても不思議じゃない。いったん、とりあえず「どういう意味?」と聞いてから判断したいです。

パリ そうそう。「それ、粒子じゃないよ」ではなくて、「君にとってそれは粒子なの?」。そこから開ける世界がある。

ナオ あります。

タピオカは麺類?

ナオ 「焼酎のタピオカ割り」は、パリッコさんの酒クレイジーな面があらわれた回でしたね。

パリ タピオカは自分にとって、粒子ではなくてむしろ唐揚げに近いものだということがわかりました。

ナオ えーと……どういう意味?

パリ 重い重い。

ナオ あ、そういうことか。

パリ 胃袋に、ドスン! ドスン!

ナオ はは。鉄球のように。

パリ 原稿には書かなかったけど、2軒目の店が手作りタピオカを売りにしてて、手打ちそばの店みたいに、タピオカ作ってるところをガラス越しに見られるようになってるんです。

ナオ へー! どうやって作るのか想像もつきません。

パリ でしょ? まずね、生地があるんです。

ナオ え! 本当にそばみたいな。

パリ 分厚くてでっかい。どちらかというと、打つ前のうどんって感じ。ただし黒い。それを電動の製麺機みたいなところに、上からゆっくり入れていくんです。

ナオ いやいや、そばの話? うどんの話?

パリ タピオカの話をしています。

ナオ 今のところ麺類と一緒ですね。

パリ ここからが違って、少しすると、ポロッ、ポロポロッって、不規則に粒が飛び出してくる。商店街の福引きの玉みたいに。

ナオ 本当ですか!?

パリ 嘘じゃありません!

ナオ 麺から急にタピオカになったなー。

パリ それ見てたらなんか笑っちゃって。表向きはあんなにスタイリッシュなのに。

ナオ はは。むしろ見せないでほしかった。私も一度、普通に飲んだんです。グリーンミルクティータピオカみたいなの。めっちゃうまいですね。

パリ そう、びっくりするくらい美味しいんですよね。

ナオ モニモニしてて、なんかかわいい食感。

パリ ティー部分も本気じゃないですか? 薄ぼんやりしたチューハイとは対極にある美味しさ。

ナオ そうそう。

パリ だからね、つくづく、もう酒で割るのはやめとこうと思いました。もちろん美味しく飲めないことはないんだけど、本気のティーに対する冒涜というような気持ちになってきちゃって。

ナオ はは。住み分け大事ですね。

後編は8月31日更新予定です。
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“よむ"お酒

パリッコ,スズキナオ
イースト・プレス
2019-11-17

この連載について

初回を読む
パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!

スズキナオ /パリッコ

なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、...もっと読む

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