アニメやゲームにおいて、自分の好きな異性のキャラクター(場合によっては異性でなくても良い)を“嫁”などと表現することがある。僕はこの“嫁”という表現に、少し抵抗がある。
アニメを観たりゲームをするとき、その世界観にどっぷりハマっている人の、作品への感情移入の仕方には2種類あると思う。
まずは、その作品の主人公や他のキャラクターに自分がなりきって作品を楽しむ人。僕はこのタイプがアニメ、ゲーム好きの中で圧倒的に多いと思っている。このタイプを仮に「転生タイプ」としよう。このタイプは、ギャルゲーや乙女ゲームをプレイする時も、自分を主人公に転生させるのだ。もしくは、主人公の存在を抹消し、主人公の立ち位置に自分を転生させる。なので、その世界の人数は変わらない。こうすることによって、主人公のことを好きなキャラクターは自分のことを好きだし、ギャルゲーや乙女ゲームにおいて、色んなキャラクターに好意を寄せられる存在になる。
そしてもう1つは、その作品の世界に自分が入ってしまったら……と考えながら作品を楽しむ人。自分が自分でありながら、その作品の世界に入り込んでしまう。このタイプを仮に「召喚タイプ」とする。このタイプは自分のまま、その作品の世界に現実から召喚されるのだ。なので、その世界の人数に自分という人間が一人加わることになる。主人公はそのままいるし、他のキャラクターとの関係性も、転生して誰かが築き上げてきたものを引き継いでいる訳ではないので、1から仲良くなっていかなくてはならない。
僕は完全に後者、「召喚タイプ」だ。ヒロインは主人公のことが好きだし、選ばれし者にだけ与えられる特別な能力もない。ただ、その世界の決まりの中で生活していれば、魔法が使えたりはするかもしれない。初登場では何の能力もないけれど、努力でどんどん強くなっていくバトル系のアニメのキャラクターには「あ、俺この世界に行ってもやっていけるかも」という希望をもらっている。