ストイックな堂本光一がファンに手を振らない理由

8/1に発売した書籍『ジャニーズは努力が9割』の書き下ろし原稿をcakesにて特別掲載! 完璧主義で仕事に対してストイックな姿勢を見せる堂本光一さん。仕事を抱え込みすぎた経験から身につけたのは“捨てる勇気”と”託せる自信”。相方の剛さんとは対照的といわれる光一さんが現在の地位を築くまでの努力に迫ります。

「常に『未完成』でありたいですね。言葉を替えると、未完成だからこそ、明日に向かってチャレンジができる」
(堂本光一,1979-)

対照的な2人

チームで仕事をすることの意味とは何なのでしょうか。ひとりでも進めるかもしれない人生において、あえて誰かと〝組む〟意味。能力の高さを自負する人ほど、自分ひとりでやったほうが早いし、完成度も高いと思ってしまいがちです。ただ、うまく人に任せることができれば、自分も集団もさらなる進化が望めるかもしれません。

ひとりでも完璧にできるように動きながらも、KinKi Kidsというコンビを組み、さらに舞台では座長としてカンパニーを率いる堂本光一はチームで仕事をすることの意味を見出します。

KinKi Kidsは、よく対照的と言われる2人です。ファッションリーダー剛と、ファッションには興味がなく、1ヶ月の地方遠征でもパンツ2枚と、私服2着で過ごすという光一。ジャニーさんには1回しか怒られたことがないという剛と、怒られ通しで育ってきているという光一。

そんな表面的な部分だけではなく、2人は生き方や仕事に対する姿勢も重なりません。それまでのジャニーズらしからぬ、変化球を投げ続けてきた堂本剛に対して、ジャニー喜多川の理想のショービジネスの道を、粛々と追い、走り続ける堂本光一。異端の道を自ら作っていった剛と、ジャニーズ本流の道の中心に堂々と立ち、鍛錬を続ける光一。

さらに具体的な違いを言えば、「ミュージカルをやってみないか」と言われ即答で断った堂本剛に対し、堂本光一は帝国劇場でのミュージカル『SHOCK』を続けています。ジャニー喜多川の理解者・剛と体現者・光一と言い換えてもいいでしょう。

『SHOCK』はもともと、ジャニー喜多川の作・演出の舞台で、光一はそれを2000年から5年続けたのちに、2005年からは自らが構成・演出・プロデュースを務める形で『Endless SHOCK』にリニューアル。光一個人も、森繁久彌が持つ帝国劇場の単独主演記録を23年ぶりに更新、上演回数1700回を越えても、発売と同時に全席完売、「日本一チケットが獲れない舞台」と言われる状況が続いています。

光一というひとりのアクターがここまで幅広く手がけるというスタイル自体が、世界的にも珍しいようで、世界的なダンサー・振付師であり、『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』のディレクターも務めたトラヴィス・ペインに「演技、歌、ダンス、アクションのすべてを、一つの舞台でここまで一人でこなす人はたぶんいないよ」と言われるほど。

まずは光一の「ひとりでの」こだわりを見てみましょう。


全ての行動をルーティーンに

『SHOCK』を中心とする光一の仕事の姿勢は非常にストイックです。例えば、2ヶ月の上演期間中は、生活を毎日同じルーティーンにします。起きる時間、シャワーを浴びる時間、食事、ウォーミングアップをする時間を全て決めて、毎日それを〝厳守〟する。その理由は「自分にミスの言い訳ができないようにするため」です。

アクシデントが起きたとき、毎日を同じに過ごしていれば、『あのせいだ』と逃げ道が作れないじゃないですか。それに、毎日同じことをやっていたほうが、その日の自分に何が足りなかったかも見えやすい

ストイックな姿勢は公演中だけではありません。光一は、DVDなどの映像作品の編集にも、自ら編集所に行って立ち会います。その関わり方は、片手間のものではありません。例えば1曲の編集を昼間の3時に始めて、夜中の3時までかけ、それでも終わらなかったこともあるほど。期間としても半年かけるといいますから、相当な時間です。そこでカットはもちろん、細かい音の調整から、発色に至るまで自ら考える。

当然、そこまでやれば、スタッフとの意見の衝突も出てきます。例えば、寄りの画(アップ)を使いたがるスタッフと、引きの画で全体像を見せたがる光一。普通はタレントの側が、自分のアップを使いたがりそうなものですが、その逆です。光一はあくまで作品としての完成度を高めたい人なのです。

そのスタンスは、光一がライブ中にファンに手を振らない理由にも表れています。もちろん、お客さんの目を見て手を振れば、心をつかめることはわかっている。しかし、割と早い段階で「これ要らないな」と思ってしまったのだそうです。その理由は「ファンサービスよりパフォーマンスで、お客さんの心をつかめるアーティストになりたい」という目標を自分に課したから。

『もう一度手を振ってほしい』と言われるより、『もう一度あのステージを見たい』と言われる人になりたい。そのほうが僕は100倍うれしい」と語ります。


〝捨てる勇気〟と〝託せる自信〟

ただ、完璧主義がたたり、自分で抱え込みすぎてしまうとパンクしてしまうことも。光一は、演者でありながら演出もし、全体をまとめる座長でもあります。2005年にストーリーまで手がけるようになったときには「完璧にしなきゃいけない」という思いが先走りして周りが見えなくなったり、やるべきことをたくさん抱えて「あれもやらなアカン、これもやらなアカン」とパニックになったりしたことも。

しかし、そういった経験から身についたのが、〝捨てる勇気〟。いわく「〝今すべき、一番大事なこと〟に集中してやることを覚えた。そうしないと、結果的に何もできない

さらに、周囲を否定してしまうのは、自分の小ささが原因だと反省もします。
周囲に対して『それは違う』って言うのは、『やりたくない』んじゃなくて『できない』だけ。自分にできる器がないってこと

そうして、何もかも自分で見なければ気が済まなかった時代を経て、人に任せられるようになっていくのです。
自分だけの視野でものづくりをしていても、限界があって、ある程度のものしか生まれてこないんです。少々不安があっても人に託せるかどうか。座長としての自信って、そういうところに表れる気がします」と語る姿からは、自信が感じられます。

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ジャニーズは努力が9割

霜田明寛

紅白歌合戦の司会を担当し続け、映画やドラマに出れば、ヒットを飛ばす、日本の芸能界を代表するジャニーズのタレントたち。しかし、彼らはもともと才能があって生まれてきた人たちではありません。「才能」と呼ばれるものは、天から授かるものではなく...もっと読む

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beni708 光ちゃんの仕事の姿勢について書いてあるサイト発見したので途中まで読めるので、そこまででもぜひ。こんな人がコンサートのMCで雪崩顔でふざけるの見れちゃうの。ギャップがすごいんです。 https://t.co/EZCmLIDwP1 8ヶ月前 replyretweetfavorite

pan_break 連載時に読んでたコラム。出版記念に更新があった(^-^) 約1年前 replyretweetfavorite

natukoichi https://t.co/rptAWsNSVt 約1年前 replyretweetfavorite

tapomiu51 https://t.co/IHtNzy9uG8 約1年前 replyretweetfavorite