自身の結婚を最大化しようとする
小泉進次郎が滝川クリステルとの結婚を発表した。「驚きました。おめでとうございます。では、次のニュースです」とスムーズに流しておけばいい話題だし、最近では、本人サイドから「プライベートのことなのでそっとしておいてください」という申し出があることも多いのだから、それに従うべきだろう。いや、でも、彼は、とにかく自身の結婚を最大化しようと試みてきた。ならばこちらは、2012年、埼玉県朝霞での応援演説で「子育てとか、少子化対策とか、それは小泉進次郎にはできないんです。独身だから。言っても説得力ないから」と言っていたことをほじくり出して、「そういう考え方って、とても稚拙ですよね!」と返したくなる。
「当たり前ポエム」に似ている
2012年11月の衆議院解散直後から180日間にわたって密着した常井健一『小泉進次郎の闘う言葉』を読むと、この人の応援演説は、綾小路きみまろのユーモアや毒蝮三太夫の毒素を徹底的に薄めた状態を繰り広げてきたことがわかる。北海道9区から出馬したスピードスケートの五輪銅メダリスト・堀井学の決起大会では「どうしてリレハンメル五輪で銅メダルだったか。金より銀より銅が欲しかったんです。ホッカイ〝ドウ〟だから」と述べた。熊本1区の木原稔の応援演説では「熊本といえば、やっぱり『くまモン』です。木原さんはホンモンです。木原さんという本物の政治家は、ニセモンのやりたいようにさせない」と述べた。もし、自分の直属の上司が繰り出したジョークだとしたら、頭に転職がチラつくレベルである。
彼の言動を追いながら思い出したのは、少し前に流行り、書籍化もされた「当たり前ポエム」だ。当たり前のことを言っているのに、ポエムっぽい書き方にすると、なんだかいい感じに読める、というもの。「目が乾くと何故か涙が止まらないんだ」「君との距離が離れるほど遠くに感じてしまうんだ」「君の前で息を止めると呼吸ができなくなってしまうよ」など大いに笑わせてもらったが、たとえば、小泉の「いくら政治不信が高まっても、政治家が信頼できないと言われても、私たちは自分で望んで政治の世界に身を置いている。だから政治の底力を信じている」って、冷静に文字を追うと、「当たり前ポエム」ばりに当たり前のことしか言っていない。中身がない。でも、これが街頭演説ならば、何か特別なことを言っているように聞こえるのだろうか。
「何かをやろうという意思を常に持っている」
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