ゲノム編集/究極の技術クリスパー・キャス9 “神の領域”で日本勢は出遅れ感

〈次のキーテクノロジーとキーパーソン〉
「神の領域へ踏み込むのか」。畏敬の念を込めていわれている技術が、遺伝情報を操作する「ゲノム編集」だ。中でもノーベル賞確実といわれている技術が、「クリスパー・キャス9」である。

 ゲノムとは生物の設計図である遺伝子に書き込まれた全ての遺伝情報。「クリスパー・キャス9(以下クリスパー)」は、1996年ごろから始まったゲノム編集技術の第3世代とされ、「究極の技術」と評される。従来の技術に比べて、容易かつ安価で、ほぼ全ての生物で使えると考えられるからだ。クリスパーが2012年に登場し、ゲノム編集は世界で一気に普及した。


「がんリスク増か」との論文が18年6月に発表され、医療への応用にはまだ不安が残るクリスパー・キャス9

 技術のイメージは上写真を見てほしい。酵素で遺伝子の狙った箇所を切り取り、機能を失わせる(ノックアウト)。切られた箇所が修復する過程で、新しい遺伝子を入れる(ノックイン)ことも可能だ。これにより農業、養殖業、畜産業で品種改良が格段に進む。

 クリスパーを12年に発表したのが、米国のジェニファー・ダウドナ、フランスのエマニュエル・シャルパンティエ両博士。この2人がノーベル化学賞の有力候補だ。

 クリスパー自体のDNA配列を87年に発見したのは日本人で、現在は九州大学大学院農学研究院教授の石野良純氏。ノーベル賞選考委員会は技術のオリジンまでさかのぼって調べるため、「大穴として受賞はあり得る」(国内ベンチャー幹部など)との下馬評がある。

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