昔の携帯電話は肩に掛けるほど巨大。その中身はほとんどが電池だった。ポータブル機器の小型化・軽量化は、電池がネックだったのだ。
このブレークスルーを果たしたのがリチウムイオン電池だ。小さな体積に多くの電気をためられるため、スマートフォンやノートパソコンの開発につながり、今でも電気自動車(EV)やドローンの発展の鍵を握っている。
こうした社会的なインパクトの大きさから、リチウムイオン電池の発明に貢献した研究者は常にノーベル化学賞の候補として注目されてきた。
最初の材料を開発したのが、英オックスフォード大のジョン・グッドイナフ教授と、同大学に留学して後に東芝に入社した水島公一氏。この材料を元に、旭化成の吉野彰氏がリチウムイオン電池を世界で初めて開発。ソニーの西美緒氏が世界初の商品化を果たした。
ただ、正極材、負極材、電解質、セパレーターから構成される現在のリチウムイオン電池は、電解質が液体(電解液)で、液漏れが起こって引火のリスクがある。これに対し、電解質を固体にすることで構造原理的に安全にしたのが全固体電池だ。
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