日本の大学はもっと企業の力を評価してください

【インタビュー】
ノーベル賞学者かく語りき⑩
田中耕一(2002年 ノーベル化学賞受賞)

●島津製作所シニアフェロー、質量分析 研究所所長
たなか・こういち/1983年東北大学工学部電気工学科卒業。同年島津製作所入社。

──日本の研究力の低下についてどう見ていますか。

 論文数が減っているのが数字として出ているので、そうなのでしょうね。大学の基礎研究の予算を配分し直すのも手なのかもしれませんが、そういう危機に対して私たちが企業としてできることは、産学連携や産産連携で、オープンイノベーションの場をつくることだと思っています。

 私の質量分析研究所は2019年1月から、本社内に建設している4階建ての新棟の「ヘルスケアR&Dセンター」に引っ越します。私たちは2階以上に入るのですが、1階にはわれわれの質量分析装置を提供して、オープンな場所にします。

 基礎研究の予算が足りない人からお金を取ることを考えていないので、国の科学研究費補助金(科研費)を申請するためのデータを作るとか、ちょっとしたことに使ってもらいます。従来の「共同研究」のような堅苦しい定義に縛られずに新たなつながりを生み出せるような場所にしたい。そういう産学連携は今までなかったのではないでしょうか。

 産学連携といえば、大学が基礎研究をして企業が応用という役割だったのかもしれませんが、その逆もあっていい。従来の枠にはめるのではなく、共同研究契約などは結ばずに、手弁当でやる共同研究もある。そうした意識改革を広げていければいいと思っています。

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