中村氏は、青色発光ダイオード(LED)の発明の対価をめぐり、かつての勤務先の日亜化学工業に訴訟を起こした。2004年1月30日、東京地裁は日亜化学に請求通りに200億円の支払いを命じた(その後05年に、東京高裁で日亜化学が中村氏に8億円強を支払うことで和解)。
まさに画期的な判決。裁判には大変な労力と時間、カネが必要となる。これは大きな負担。裁判費用も高額だ。日本の司法制度で個人が組織を訴えにくくなっている原因の一つだ。
地裁が認定した発明の対価は604億円。産業界からは巨額の成功報酬が企業経営を圧迫するという意見が上がった。
相当の対価の算定基準はあくまで超過利益だから、発明者へ支払うことで会社がつぶれてしまう心配はない。しかも利益を上げることのできない発明に相当の対価を支払う必要などないのだから、そうした意見は的外れだ。
長期的には、社内の発明者へのインセンティブが上がることで優れた発明や技術開発が実現し、結果として企業にとっても利益となるはず。